3.

 昔々、ある王国がありました。

 その国の国王は建国の際に大いなる虹と契約を交わしました。


『汝らを守護するため、我が虹を授けよう。我が虹は意思を持ち、人として生きる。差別する事なかれ。曇らせる事なかれ。それが我の望みである』


 それから、その国の王族は不思議な子を産むようになりました。情熱的な赤、暖かな日差しの橙、輝くような金、逞しくも優しい碧、愁いを帯びた蒼、覚悟を持つ藍、高貴な紫。様々な色を持った子が生まれるようになったのです。

 それから数百年が経ち、七つの色を持つ少女が生まれました。しかし、契約を忘れてしまった王族は少女を悪魔として処刑してしまったのです。

 大いなる虹は激怒し、王国に災厄をもたらしました。慈愛の女神は心を痛め、少女を天使として生まれ変わらせました。

 やがて王国は滅び、大いなる虹は大陸から去りました。しかし、大いなる虹の子、神に祝福された少女は天使として、今も大陸を見守っているのです。


「――おしまい。さ、お祈りに行きましょう。私達が罪を犯さないよう見守ってくださるアマエル様と、偉大であられる神々に」

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悪魔として処刑された少女は御遣いとなって罪を回収する こ〜りん @Slime_Colin

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