第十六話 奇跡の光景
瞼の上から眩しいのを感じて目を開けた。カーテンが朝日を受けて白い光を放っているのがわかる。外では鳥が鳴いている。何も変わりない、いつもの朝だ。
「起きた?」
誰かに呼びかけられてそちらを向く。そこには・・・
「さ、サヤ!!」
「ふふ、、なによ、そんな大きな声出して。」
「い、いやお前、、、どうしてここに、、」
「どうしてってなんでよ、、ここは私たちの家じゃない。」
サヤは平気そうな顔でそう言った。
いや、、おかしい、、だってお前は今はあの山奥の館のでかい水槽の中で眠っているはずじゃないか。これはいったいどういうことだ。
サヤがしばらく
「ぷっ、、ほら、もう変なこと言ってないで起きて。今日はこの子の洋服を買いに行かないといけないでしょ」
「この子、、?洋服、、、。」
サヤはそう言うと振り向いて台所の方に向かおうとした。その時、その背中に背負っているものに俺は目を丸くする。
「えいた!!」
思わず叫びながら立ち上がった。立ち上がってすぐに頭痛がしたが、そんなものは気にならない。ただ、たしかにサヤの背に担がれた"それ"は俺の息子・えいただった。
いないはずのサヤが、間違いなく俺たちの息子のえいたを背負っていた。
子を背負う母と、その子供。はたから見ればなんの変哲もない光景だろう。ただ、俺にとっては実現するはずないと思っていた奇跡の光景だった。
サヤが俺の声に反応して振り向いた。その顔は不気味なほど穏やかだった。にっこりと微笑んで、俺を見つめたまま、サヤはゆっくりと口を開いた。
「ふふ、、この子の名前、えいたにしたんだ。」
俺は戸惑いの表情を隠せない。口も目は見開いたまま、黙ってサヤを見つめていた。
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子ガチャ!~A⁺ランク息子を授かったCランクの俺は、死んだ嫁を生き返らすために今日も育児に奮闘する~ 昼堂乱智 @janky_tempei
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