第13話 妹ちゃん……?
「愛する兄さんとやれて、双葉ちゃんは幸せなのでした」
「愛する兄さん?」
「私は兄さんのこと好きだよ?家族として、じゃなくて。もちろん、男として」
今度は履いてから俺の席に座っていた。
なにを履いたとは言わないけど。
「さて、なにから話そっか?気になることあるんだよね?もちろん。この世界に元々いたはずの優馬の行方とかも気になるんじゃない?」
「はっ!(失念していた。こんな世界に来てそんな細けえことは気にしている暇はなかった)」
でも、それもそうか。
考えてみれば、この世界には元々俺がもうひとり居たはずだもんな。
「この世界にいるのか?同じ人間が2人いるのはやばいんじゃ?」
「いないよ、安心して。元々兄さんがいた世界に行ってるはず。たぶん、向こうは向こうで幸せだと思うよ」
この世界の俺、どんな感じだったんだろう?
気になるよな。
「これ、返すよ。厳密には今の兄さんのじゃないけど」
ポンと手帳を投げてきた。
受け取る。
日記帳だった。
中を見てみる。
どうやらこっちの世界の俺も他のみんなと同じく女嫌いだったらしい。
文面を見る感じこの世界の男って性欲がゼロに近いらしい。そんな世界で色んなことが重なって、嫌気がさして俺と同じように【飽きた】を同タイミングでやったらしい。
全部書いてあった。
で、俺と俺が入れ替わったってことだそうだ。
今別世界にいるもう1人の俺は女に絡まれることもなく幸せに生きてると思う。
まぁ、疑問はいろいろと湧いてくるけど。
細かいことはどうでもいいか。
この世界の妹ちゃんが俺を大好きすぎるということが分かったので。(向こうの俺たちはくっそギスギスしてると思うけど、それで幸せなら言うことないよな)
「ねね、兄さんは私の事どう思ってるの?」
俺の事を嫌ってくるやつは嫌うけど。
俺の事を愛してくるやつは……
「もちろん、愛してるよ?」
「やったぁっ」
喜んでいた。
妹ちゃんがこんなにかわいいと思ったのは初めての事だった。
「兄さん、連絡先交換しない?」
ん?聞き間違いか?
「持ってないの?俺の連絡先」
「この世界の兄さん。私の事嫌ってたから教えてくれなかったんだよ」
「うぅ、妹ちゃぁん。前の世界の妹ちゃんも俺には教えてくれなかったよォ」
というわけで、俺たちは兄妹のくせに初めて連絡先を交換した。
「ところで双葉は問題ないの?あんな親と一緒に住んでて」
「ほんとは兄さんと暮らしたいよ。めっちゃギスギスしてるし、あの家」
シュンと肩を落としてた。
「それに毎日やりたいよ。兄さんと」
「うーん」
だけど流石に俺からは何も言えないんだよな。
さすがの俺も涼音たちにもうひとり面倒見てくれとは言えないなぁ。
となると。
(自分たちで家を用意するしかないよな)
で、今の俺達には金が足りてない。
やっぱ稼ぐしかないよな。
ってなると、例のカフェでの金稼ぎとかのモチベーションも湧いてくる。
(早くいっぱい稼げるようにならないとな)
あと、学園の中だけじゃそれほど売上とかも伸びないだろうし。
やっぱ外部でも売っていかないとな。
ってなると、ネットとかでも販売って形になるのかな。
うん、行く行くはそういう方面でも考えてみよう。
「兄さん?あんま気にしなくていいからね?平気だから」
「大丈夫だよ。双葉。俺を信じてなさい。きっとふたりで暮らせるようになるから」
「ほんと?毎日兄さんとやれるの?」
毎日かは分からないけど。
「とにかく、頑張ってみるよ。だから期待しててくれ」
「うん。期待して待ってる」
そのときだった。
ブー。
スマホが振動してた。
見なくても分かる。涼音たちが心配してるんだろう。
「ごめんね双葉。今日のところはとりあえずこれで」
「うん。いいよ、気をつけて帰ってね」
俺は双葉に別れを告げて涼音たちの所に向かっていった。
◇
家に帰ってさっそく風音に相談してみる。
「風音、グッズのことなんだけど。ネットとかでも販売出来ないかな?」
「行けると思うよ。私に任せなさい」
すると、風音は俺を見てきた。
「なに?」
「頼みがある。私このままじゃタダ働きになるし。さすがにちょっとしんどい」
「分け分とかってこと?」
「金の要求はしないよ」
首を横に振ってた。
「私が要求するのはキミの体。定期的にやらせてくれない?」
「いいけど」
そんなことでいいのか?
未だにこの世界には慣れないな。
女の子とやる事が報酬になるなんてなぁ。
「じゃあ、それで決定。うん。最後まで付き合うよ。で、そうと決まればさっそくSNSアカウントとか作成してみない?あと、ほしい物リストとかも公開しておくといいよ」
悪そうな顔をしてた。
「男が欲しいものリスト公開してるとめっちゃ贈り物されるよ?」
(欲しいものリストかー)
忘れてたなそういうの。
前の世界じゃ女の子が羨ましかった。
欲しいものリスト公開してたらめっちゃ買ってくれてたもんなぁ、男の人が。
でもここは逆転世界。
男が公開してると女の子が送ってくれるってわけか。
「さっそく、公開してみようか。欲しいものリスト」
とりあえず個人用のアカウントで俺は欲しいものリストを公開してみることにした。
これは今まで使っていたアカウントだ。
ってか……
「しばらく見ないうちにフォロワーの数がすごい増えてるな」
俺のメンヘラツイートしかしてないアカウントのフォロワー100倍くらいになってた。
でも、これだといろんなものが売れるかもなぁ。
人生に絶望して校舎の屋上から飛び降り自殺しようとしてたら学園一の清楚系美少女が「死ぬ前に私とセッ〇スしませんか、生中なら一万円払います」と止めてきた。後から知ったがここは並行世界の貞操逆転世界だった にこん @nicon
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