恋に落ちたのかな、それともこの感覚に酔ってるだけ?答えを知りたい

移動式の繭

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日差しが照りつける暑い日、僕と悠太は生活委員の仕事でプール掃除をしに学校に来ていた。

「夏休みだってのにこんな雑用に駆り出されるなんて最悪だよ。」

掃除用具片手に愚痴を呟く。

「でもこんなのもたまにはいいじゃん。学生って感じがしてさ。」

涼しい顔をしながら僕を見て悠太が笑う。


最近お気に入りのアイスは何だとか、そういえはあいつ彼女と別れたらしいよ、とかくだらない話をしながらブラシを動かす。

後は洗い流すだけ。少し上に向けて水を放出する。虹が見える。太陽が反射してキラキラしている。虹の向こう側にいる、君。

「おい!誠、僕に掛かったって!」


水が掛かって濡れた悠太がこっちを見て怒る。君には言わないけど、その表情怒ってるようには見えないよ。

最近君を見ると心臓が変になるんだ。

この感情に見当はついてる。でも、心はたまにウソをつくから。確かめてみてもいいかな。

「ごめん悠太!でも暑いしちょうど良かったじゃん。」


すると悠太もホースをもって水をかけてくる。

「ぼーっとするなよ誠!暑いんならもっと涼しくしてあげるよ。」

頭から水を被る。僕も悠太にやり返してそのままお互いに水を掛け合う戦いがはじまった。



遊び疲れて、プールサイドに2人で座り込む。

「制服びしょびしょだよ、どうしてくれるの?」

すると悠太が僕を睨みながら言う。

「元はいえばお前から始めたんじゃん…。」

まったくさぁ、と呆れて仰向けに寝転がり目を瞑る。

「風が気持ちいいな、」

僕は悠太の方を向き、顔をみつめる。


笑うと折り曲げられる優しい目、高くて筋の通った鼻、形の整った唇…。

「悠太、僕…」

言いかけて、やめる。こちらを向いた悠太の瞳があまりに綺麗で、失いたくなくて。

僕がこの言葉を言ったらその瞳はどんな風に変わってしまうのか、とても怖い。


僕がこんなにも臆病だとは知らなかったな。

まだこの生ぬるい関係を続けていたいみたいだ。

いつか君に言える時がきたら、受け入れてくれるだろうか。

「なに?言いかけてとまるのやめてよ。」

「いや、ごめん。僕お腹空いた」

なんだそんなことか、と悠太が笑う。


「やけに真剣な顔して話し出すから何かと思った。アイス食べながら帰ろ。」


立ち上がって歩き出す悠太に、眩しいほどの光が注ぎ込む。

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恋に落ちたのかな、それともこの感覚に酔ってるだけ?答えを知りたい 移動式の繭 @tashima_soujiki

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