第14話「最初から決まってた」

最初から決まってた。

そう、最初から決まっていたことなんだ。

他でもない、この僕が決めたことなんだ。


違う結末を夢見たことがなかったと言えば嘘になるけれど、

でもやっぱり現実はこうしなくちゃ。


僕たちはやり遂げた。


やり遂げたから、ここで本当に幕を引かないと。



……ひとつ言うなら、もう一度だけ海を見たかったなぁ。

最後に見たのはもうほとんど覚えていない遠いむかしのことだけど、

それでも鼻の奥に微かに潮の香りが残っているような気がするんだ。



──けど、もう十分だ。

この世界にしがみつくのはやめよう。


ねぇ、君にはいっぱい迷惑をかけたね。

振り返ってみると僕はわがままばかり言っていた気がするけど、

これで最後だから許してほしい。


──そう、本当に最後だ。


……ねぇ、そんな顔しないでよ。

最初に会ったときに言ったじゃないか。

あの時、君は二つ返事でうなずいたじゃないか。


…………。

仕方ないなぁ、これで最後だから。

もう一回だけちゃんとお願いしてあげる。




お願いだ、イルさん。

僕を殺してほしいんだ。





出演:「ライラプス王国記」より ロキ

20240807.NO.15.「最初から決まってた」


剣と魔法の王道バトルファンタジー、本編はコチラ(いつか書き直すかも……)→

https://kakuyomu.jp/works/16817330653800201651

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 11:00 予定は変更される可能性があります

書く習慣SSまとめ 氷室凛 @166P_himurinn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ