第2話

 旅を始めるにあたって、王様からカードをもらった。これで装備品などを整えろと。お金の請求は後で城に行くらしい。


 正直、怖い。何でこんなモノがぼくに渡されたのか。理解に苦しむ。


 単なる捨て駒を送り出すのにここまでするだろうか。ぼくが、めちゃくちゃな買い物をする可能性は考えないのか……。それとも、それをしたらバレて捕まるのか?


 何にせよ、一応旅を続けられそうな体制は整えられているらしい。とはいえ、一人だし、一人で準備しろってのも。


 色々考えても答えが出ないことは一旦後回しにして、まず武器と防具を揃えることにした。


 この城下町にはたくさんの店、品が揃う。


 動物や魔物を狩る仕事をしている人も今は多い。


 そんな中で、わざわざぼくが「勇者」と呼ばれて王様直々に魔王討伐を命じられたのは、やっぱりおかしい気もする。



「らっしゃい」


 武器屋兼防具屋に着いた。ここでまず考えたのは、身を守ること。でも鎧のような重たい装備は動きが鈍くなりそうだし、暑そう。


 だから、少し大きめの盾を……いや、盾を手に持つと意外と重い。これはこれでしんどい。そもそも、身を守るだけでは敵を倒せない。


 やっぱり盾はなるべく小さくて軽めの、普段は腰にも下げられるようなものにして、武器を選ぼう。


 盾との相性が良いのは、やっぱり剣。剣はとにかく使いやすくて切れ味が良いに越したことはない。


「この中で、一番良い剣を頼みます」


「おっ。何だかどこかで聞いたセリフだねぇ。あれはいつのことだったかな? まぁいいや、おじさん、ボケちゃって」


 自らをおじさんと呼ぶには、王様くらいおじいさんな見た目のその人は、鞘から抜くと、とてもピカピカな剣をくれた。


 これならちょっとは戦えるかもしれないという気分になれた。自分の実力は無視して。

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ネガティブ勇者の冒険譚 浅倉 茉白 @asakura_mashiro

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