概要
歪んだ理想が思想になる。
僕は偶然にも同じ苗字の塩原という男が気になって仕方がなくなる。その気になり方は、異様なものだった。彼を思わなくては自分に不運が襲ってくる、そのために僕は塩原から逃げられないと錯覚するほどに、旧友であるはずの塩原をあたかも目の前に現象する存在として考えていた。つまり、理想と思想とを2つ同時に並べると、そのどちらかが実体を変えて表れてくるといった、信用のなさ、論理学の欠如を、空を通り過ぎるようにして、ベルトコンベア式に進む状態を死滅するまで維持するべきと考えるのが、僕の塩原を思ってる今の状態を確立するための必要条件であり、相手から偶然を取り除く唯一の方法だった。
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