第6話
苔でできたウミウシみたいな手触りの良さそうな生き物が、ふんふんなるほど、と相槌を打ちながら話を聞いている。
俺たちはグルグルの言う『宗教的中立宙域にある僻地の星』に無事到着し、その衛星のうち入星審査みたいなことをしている星に留め置かれて聴取を受けていた。
「ところでこの星の公用語は十二あって、グルグルさんの母語とは直接翻訳できるけどアムさんのはうちの星にデータがないんですよ。だからグルグルさんの脳にバイパスもらって二段翻訳してるんですけど、アムってどんな意味なんですか? イメージ持ちたいです」
「秋の麦。秋は季節、麦は穀物です。秋が実りの季節なので、俺のいた土地てきには組み合わせは変じゃないです」
「なるほど。私はまた、グルグルさんがお名前をつけたのかと」
何て? と聞き返そうと思ったがその時別の草ウミウシたちが俺たち二人それぞれの留置手続きをしに来たので、話はそこまでになった。
留置星でグルグルと俺は並んで寝転んでいる。個室監禁じゃなくてよかった。それで俺は草ウミウシの言葉の意味を聞いてみた。
「ああ、それは多分ね」
格子の入った窓から幾つかの衛星を見上げつつグルグルは言った。
「ニムイ
ひとりぼっちの
だから彼女、ひとりぼっちになった
俺は何とも返事ができなかった。ていうか
ヤベェな、と思う。
死後の世界で嬉しいとかアリなんかよ、と思う。
その俺に、隣のグルグルはくふくふと笑って言うのだ。
「君は僕の
そして俺の脳裏には幼い頃に覚えた歌がまた漂ってくる。
ひかりひかり
わたくしたちは ひかりのこども
…………
……………………
グルグルとアム 鍋島小骨 @alphecca_
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