教習所編

バイクに乗ろう

 初めて教習所を訪れたのは十六歳の時。

 実利主義、現実主義の母に連れられて、原付の免許を取りに行きました。母についての記述は

「モブ鳥落とすイキオイ」

https://kakuyomu.jp/works/16817330668411924495

に、収めてありますので、よろしかったら合わせてお読みください。


 中学生の頃から新聞配達をしていたので、自転車よりも原付に乗れた方がいいだろうと連れていかれ、講習を受けて一日で取得することが出来ました。

 原動機付自転車免許(50㏄)なら、十六歳でも取得可能です。学科試験と三時間ほどの乗り方・技能講習に合格すれば、その日のうちに免許を取れます。


 家計を助ける為というより、我が家では独立独歩で生きることが推奨されていたのです。

 そして我が家にはカブ (バイク)があったので、それに乗れたら良かったのでしょうが、なにぶんにも運動神経のなかった私は、カブを乗りこなすことが出来ず、その時点では自転車を選択していました。

 寝起きの悪い私は深夜三時に新聞を積んだ自転車を漕ぎながら居眠りして、縁石に乗り上げたり転倒したりしていたので、バイクに乗らない方が結果的には良かったのかもしれません。

 

 さして免許には興味がなかった私ですが、自動二輪の免許を取ろうと思ったのは二十歳を過ぎた頃です。

 友達が400㏄のバイクを手放すので「欲しい人がいたらメンテしたヤツをタダであげる」という言葉にノリで応募しました。

 免許を持っていなかったので、「速攻取って来るわ! キープしといて!」と言い放った私は、自分の言葉を嘘にしない為、その日のうちに教習所に申し込みに行きました。

 ついでに車の免許も取ろうと思い、同時教習で片方の学科を免除してもらいました。実技時間も増えてセットの方がお得です。


 考えが脳筋なので、成せば為るの精神です。視認のしやすさと動きやすさを考え紫のド派手なジャージを着て、時間が空いた時には足しげく教習所に通います。父親は私に甘いので、免許を取ると言ったら、バイク用のブーツとヘルメットを買ってくれました。


 周囲の協力を得られたとはいえ、頑張るのは自分です。一日何時間も教習所で実技をやっているとさすがに疲れます。

 周りは友達を作ったりして楽しくやっているようでしたが、ド紫ジャージ姿で休憩所のベンチで爆睡する私に声を掛ける猛者はいませんでした。

 そんな中、30代の色っぽいお姉さんが「頑張ってるね」と声を掛けてくれて、「一緒に頑張ろうね」と言ってくれました。

 彼女とはその後も交流が続き、新しいバイト先も紹介してもらいました。


つづく。

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