あたし免許を鳥に行くの
鳥尾巻
はじめに
デジャヴ
初めましての方もお馴染みの皆様もこんにちは。鳥尾巻と申します。トリ、オカン、オマキ、お好きなように呼んでいただければと思います。
今まで数々の失敗談エッセイを書き綴って参りましたが、今回は運転免許に関するお話をしていこうと思います。
8月某日。
長女が普通車免許を取得したと言うので、練習も兼ねて送迎を依頼しました。
ちょうど末っ子がオープンキャンパスに行くのに、誰かに車を出してもらおうと思っていたのです。
自分が運転すればいいって? それはそうなんですが、私が運転すると周りが危険なので、現在運転を控えており10年以上のブランクがあります。
さて、送迎当日。運転に適した準備万端な恰好で現れた長女の車に乗り込み、ナビをセットして出発です。
運転開始から数秒、長女の口からは悲鳴とここには書けない口汚い罵倒が漏れ続けます。末っ子は終始怯えて沈黙を守っておりました。
ああ、既視感。
私にも覚えがあります。どうして目的地は直進で到達することが出来なくて、歩行者と自転車はあんなにはみ出してくるのでしょう。駐車場の枠、車線、全てが邪魔です。
途中、息子から心配するメッセージが届きながらも無事目的地に辿り着き、斜めに駐車スペース枠内に駐車することが出来た我々は、車の前で記念撮影をしました。
「いえーい、オタクくん (息子)、見てる~?」
たかだか7~8kmの距離を走って駐車しただけなのに、まるでNTR漫画の寝取り役みたいなはしゃぎっぷりです。まだ帰りもあるというのに。
帰りは途中で寄り道したいと言う子供達の要求を斥けて、真っ直ぐ帰宅することを提案しました。
だって、ショッピングモールなんて行ったら絶対帰ってこられないと思ったのです。
車を出してくれたお礼に家の近くで夕飯を奢るということで手を打ち、また車に乗り込んで帰路につきました。
我々が住む町は城下町なので、碁盤状の道路は分かりやすいのですが、一方通行が多いため、目的地が見えていても車線トラップに引っかかると辿り着けません。
案の定、家の近くで強制左折ゾーンに踏み込んだ長女は、パニックを起こして猿叫します。
なだめすかして3回ほど同じ場所をグルグル回った後に、這う這うの体で帰宅しました。
その日食べた夕飯は生を実感させてくれ、五臓六腑に染みわたるようでした。
しかし、私も人のことは言えません。長女の運転を見ながら、私は自分が免許を取った時のことを思い出していました。
つづく。
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