第51話 暇を持て余した神々の悪戯
【人類種】最高の保護者は私だ!スレpart9999【可愛いよね】
:保護者総括【アト】
はい、今日も人類種を見守っていきたいと思います。
<今までの経過観察>
ダンジョンを通じて耐久強化! 脆弱な精神からの脱却!
人類フォローキャンペーン! 契約を結んで我が子の可愛さをアピール!
私の人類種育成計画! みんなでグッドボタンを押し合って評価しよう!
他にもアイディアがあったらお申し付けください
適正に精査をしてから取り組みたいと思います
<注意!>
一部抜け駆けして過剰にサポートをしている存在を確認しました
あくまでも見守るにとどめる、契約を結ぶまでで
本人の許可なく勝手に肉体改造するのはダメですよ
ね、>>スーラちゃん?
:保護者【スーラ】
ひどいです、姉さん
だって姉さんがあまりにも放任するもんだから!
私が構ってあげないとって!
:保護者【トア】
何したんだよ、スーラさん
:保護者【トゥルー】
きっと有る事無い事吹き込んで自分色に染めようとしたんでしょ
:保護者【イク】
想像に難くないね
:保護者【グラス】
あー楽しかった!
次はどこに行こうかなー?
:保護者【トゥルー】
言ってる側から問題児
:保護者【グラス】
あ、トゥルーちゃんだ! やっほー
:保護者【トゥルー】
復活させてもらったことには感謝してる
けど、それはそれ
教育に関してはあなたのやり方は看過できないからね?
馴れ馴れしくしないでちょうだい
:保護者【グラス】
パパー、トゥルーちゃんがいじめるよー
:保護者【ナイト】
すまないね、うちのツレが
:保護者【ヨグ】
グラスちゃんヤッホー
:保護者【グラス】
ヨグお姉ちゃんやっほー
:駆け出し保護者【アース】
君たちはいつも明るくていいね
我ほどじゃないが
:駆け出し保護者【ァトゥ】
で、議題は?
ここで今後の方針を決めるんだよね?
:保護者総括【アト】
そうですね!
今回の議題はドリームランドの侵食度合いについてです
ちょっと人類側に侵食しすぎじゃないかなって案じています
それについて詳しい事情を聞きたいのですがいいですか?
>>グラスちゃん
:保護者【グラス】
え? あたし?
特に何も考えてないけど
あ!
うちの息子が少し不便にしてそうだったからちょっと手助けしちゃった
あと娘ね!
ァトゥちゃんにお任せしちゃったから当初の計画が大きく変わっちゃったかなー
あの子にはもっとビッグになって欲しかったんだけど
:保護者総括【アト】
はい、ダウトでーす
人類種はビッグになることを望んでませーん
あなたのことだろうから、SIZをいじるんでしょ?
:保護者【グラス】
そ、そんなことないよ?
:保護者【ナイト】
目が泳いでるよ、グラス
君が好きにやったあとは大体大惨事になることをもう少し自覚した方がいい
娘が不憫でならないよ
私のやれることは唯一、彼女を娘の教育の場から離すことだったからね
ァトゥさん、あとは頼んだよ?
:駆け出し保護者【ァトゥ】
お任せください! ナイトさん
みうちゃんは私が責任を持って育てますんで!
:保護者総括【アト】
うんうん、こう言う横のつながりが今後は必要不可欠よー
過去のいざこざなんかどうでも良くなってくるわねー
:駆け出し保護者【グラ】
それはそれでどうかと思うけど
推しを作る前まではそう思ってた
けど人間を教育し始めてから考え方変わったよね
:駆け出し保護者【シース】
ほんとー
人間は脆弱でメンタル弱弱だけど、だから可愛いっていうか
:駆け出し保護者【ノア】
みなさん教育熱心でいらっしゃいますね
私も推しと接触しましたが、なかなか心を開いてくれずに難航しています
:駆け出し保護者【ァトゥ】
ゆっくり接していけばいいよ
私もまだまだ慣れてないけど、みうちゃんは頑張り屋だから
育成するってよりは一緒に成長する感じかな?
人類は弱いからついつい世話を焼きたくなっちゃうけど
それを見守りながら、成長の過程を見守っていくっていうか
:駆け出し保護者【ノア】
参考になります
:駆け出し保護者【グラ】
一度駆け出しの皆さんで集まって懇親会など開きませんか?
:駆け出し保護者【シース】
いいねー
:駆け出し保護者【ノア】
とてもいい提案です
しかし住まいは随分と離れていらっしゃいますけど
どのようにして合流しますか
:保護者【ナイト】
ならば私から合流用アイテムをご用意させていただこう
:駆け出し保護者【アース】
お、ナイア殿からの協賛とは
恐れ入るね
:駆け出し保護者【ァトゥ】
何か裏がありそうで怖いですね
:保護者【ナイト】
娘が世話になってるし、これくらいはさせてくれ
本当は私か妻が顔を出すのが1番なんだが
それが彼らにとって幸か不幸か測りかねるのでね
今は契約をしている君たちに任せようと言うのさ
:駆け出し保護者【グラ】
あー
歩く災害ですもんね
:駆け出し保護者【ノア】
最悪、私どももそう大差ありませんけどね
:駆け出し保護者【シース】
流石に本体は表に持ってけないかなー?
ただ、落とし子となると教育に力の入れ方って変わるっぽいし?
:保護者【ナイト】
お察しの通り、自分の子供に押し付ける理想が彼女は特に高くてね
◇◆◇
夢を見た。
変な夢だ。
仮面をつけた朧げな男女が親しそうに何かを語っていた。
そして起きたら身に覚えのないアイテムが目の前にあった。
小さな箱の中に収められた黒光りして赤い線が走る多面結晶体型の宝石。
金属でできた帯と奇妙な形をした7つの支柱によって、箱の中に吊り下げられている。
箱は不均整な形状をしており、異形の生物を象った奇怪な装飾が施されている。
宝石をじっと凝視すると、心に異界の光景が浮かび上がってくる。
不意にその箱からテレパシーのようなものが届いた。
『すまないね、陸。少しお使いを頼めるかい?』
懐かしい、父親の声。
なぜこんな箱から直接聞こえてくるのかわかりやしないが、これが遠く離れた父さんと声を繋ぐためのアイテムだろうことはわかった。
どう見ても【輝くトラ××××ロン】である。
そう言えば父さんは【ナイ×××ト×××】と契約してたらしいしな。
このアイテムはそれを召喚するための道具だと聞く。
なら向こうからコンタクトをとってきたっておかしくはないか。
問題はなんで今であるかってことだが。
『突然連絡をよこして、要件はそっちの身勝手なお使いかよ! ダンジョンで行方不明だって言われて、こっちはずっと心配してたんだぞ!』
『そうだよな。お前たちはまだ子供だ。大人に甘えたい年頃でもある。だが当時は少し不味い事態になっていてな。母さんが暴走してみうが大変な目に遭うところだったんだ』
『スーラから聞いたよ。母さん、どこぞの神様の化身だって。それがみうをどのように変質させたかったかはおおよそ見当はつく。そうか、父さんはそれを阻止すべく母さんを別の場所に移したんだな?』
『スーラさんか。彼女から聞いたのなら話が早い。うちの母さんはみうをちょっとこの世ならざる存在へ改造しようとしていてね』
『とても嫌な予感がする』
『その直感は正しいよ。ヨグの落とし子とはもう出会ったかい?』
『兄の方とは』
『そうか。厳密に言えば弟と同じ措置を取らせるつもりだったそうだ』
『人を逸脱させると?』
『それがあの子のためだって聞かなくてね』
『本人に一応聞けよとしか』
『君は母さんが人の話を聞くタイプだと思うのかい?』
『ヨシ、この話はここらへんで収めよう。お互いに気まずくなる未来しか見えない』
『本当にお前は立派になったな。スーラさんが気に入るだけある。彼女には少し悪いことをしてしまったな』
『スーラの異動には父さんにも直接関わり合いがある?』
『厳密には関係ないと言い切れる。しかし君に処置を施しきれずに一度死なせてしまったことは悪かった。本当は不死を与えるつもりだったんだが、母さんがそれじゃ面白くないの一点張りでね』
母さんは浪漫主義者らしい。
いらないんだよ、そんな浪漫。
『なんか父さんって想像以上に苦労してる?』
【ナイ×××ト×××】って世界で暗躍してるってイメージが強いんだけど。
父さんからはそういう『愉悦』じみた言動が聞こえないんだよなぁ。
むしろ問題児の世話ばかり見てきた苦労人って気配が強かったりする。
『そうやって気にかけてくれるのはお前だけだよ、陸。私はほとんど【ナイ×××ト×××】と同化してしまっているが、気持ちはいまだに人のままだよ。姿形はあまり表に出られるものではなくなってしまったが』
『そこは俺も人のこと言えないかな? 触手を生やせるって聞かされたし』
今はまだ、人間の形を保てているけど。
『スーラさんの仕業だね。あの人も母さんと同じく自分勝手でなぁ』
すごい感情がこもってるな。
やっぱりあの人信頼をおいちゃいけないタイプの神様だったか。
距離感バグってるって感じたのは間違いではなかったようだ。
『母さんとは姉妹だって聞いたぞ? むしろ俺に対して母親風吹かしてきたんだが?』
『どっちの子供になるかはお前に任せる。生みの親か、死後復活後の親か』
そこは育ての親って言わないんだな。
まぁ育ててもらった覚えはないんだけど。
『父さんの見解は?』
『どちらもやめておけとしか言えないな』
【ナイ×××ト×××】にそれを言わせちゃおしまいよ。
俺の女運は最悪なのか?
生まれてきた時点で最悪としか言えないが。
『で、近況報告はこれくらいにして、お使いってなんだ?』
『実は近い将来君たちの元に我々の気にかけてる人間が一同に会する機会があるんだ。その時にそれとなくサポートして欲しいんだ』
『また無茶なことを言うもんだな。誰が誰かわからないとサポートしようもないぜ?』
『その時はまた連絡を入れる。このアイテムはスマートフォンのように文字を送ることもできるんだ。便利だろう?』
『不気味なオブジェにしか見えないけどな』
『ははは、気味が悪いのは仕方ないさ。呪いの儀式に扱うものだしね。では、頼んだよ』
言うだけ言って、父さんからのテレパシーは途切れた。
本当に俺は、一般人からかけ離れた存在だと言うことを深く認識するのだった。
しばらくして、文字が浮かび上がる。
それは日本語とも言えない独特の言語。
なぜか頭の中に入ってきて、人物名だと言うことがわかった。
阿武穂薄、片野永遠、志谷竜馬、小倉秋乃。
そこに連なるみうの名前。
ちょっと待ってくれ。
どうしてここに消化器官医の名前が?
みうの担当をしてもらっている片野先生の名前は確か永遠だったはず。
これは何かの偶然か?
それとも……
次の更新予定
2024年9月23日 07:14 毎日 07:14
みうちゃんは今日も元気に配信中!〜ダンジョンで配信者ごっこをしてたら伝説になってた〜 双葉鳴|◉〻◉) @mei-futaba
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。みうちゃんは今日も元気に配信中!〜ダンジョンで配信者ごっこをしてたら伝説になってた〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます