小中高大の一貫校に通う小学5年生の聡美ちゃんは、抜群に耳のいい女の子。
耳がいいことが理由で複雑な悩みを抱えていた彼女はある日、部室棟から聞こえてきた声に釣られて部屋に入ることに。
そこで行われていたのは、声で演技をする「声劇」で⁉︎
個性的で優しい部活の先輩と過ごすうち、聡美ちゃんの固まっていた心はじんわりとほぐれていき……。
ただし、日常も一筋縄では行きません。言動のきつい部員の女の子とのトラブル、市民ホールでの発表、そして方向音痴のクラスメイト⁉︎
声劇を通して、聡美ちゃんと周りの人間がどう変わっていくのか。
ゆっくりと変わる心情も、是非見てほしいと思います!
キラキラでワクワクした、素敵な物語です。
耳がとってもいいけど、それがコンプレックスな主人公の聡耳ちゃん。
彼女が声優の部活みたいな「声劇部」と部員たちに出会って……という物語です。
着目していただきたいのは、彼女が小学五年生である、ということ。
小学生から見る中学生たちの頼もしさ。
小学生だからこそ、力及ばないこと。
スマホもSNSもない日常。
ここはすでに、大人たちから見れば異世界です。
近い年代の子たちが見ても、ゲームなども出ずひたすらアナログなので、新鮮かもしれません。
読めばきっと、すぐにその世界に引き込まれると思います。
さらに、劇という別の世界が待っています。
お題は有名なグリム童話ですが、役柄や彼らの心境を表現する演技が、時折その世界観を持ち込んできます。
物語が進んでいくに従い、それらが素敵なスパイスを与えてくれます。
作品の何よりもの魅力は、六人のとっても良い子の登場人物たち。
それぞれの特徴も目を見張りますが、何よりも「こんな良い子いないでしょwww」ってなりません。自然な善性で嫌みがなく、魅力的で好ましい。
7万字でまとめられていますが、彼らのやりとりだけでもずっと見ていられるでしょう。
半月ほど更新のたびに読ませていただきましたが、毎日楽しみでした。
このままずっと続いていくことを、期待してしまう作品です。
今からでも遅くはありません。
是非に、お読みくださいませ。