翔ばたけペガサス

@yoshing07

繋がる

僕は今翔んでいるんだ、自由な空を親友のレンを背に乗せて。

ここがどんな世界か分からないけど人間だった思春期の僕たちはリアルな容姿ではなくフェイクな自分がなりたい姿になってしまったのかもしれない、僕は雪のような白さを持ちそしてどこまでも飛べる立派な翼を持つ白馬になり、彼は隆々とした筋肉を持ち大きな弓を携える英雄だ。

僕たちはこの世界を救うために王から命じられて怪物キラを倒しに行っている。キラは口から火を噴き、振り回せば竜巻を起こせるほどの尾を持つ正真正銘の怪物だ。だけど僕たちは負けなかった。キラを見つけたとき見つかってしまったけども縦横無尽に動き敵の目を切り油断している隙に弓で一撃だ。今は王がいる天上の世界に向けて飛行している。

「キメラ討伐簡単だったなーガス、もっと面白いことしたいなあ」

彼はすぐ調子に乗るがそういうとこもおもしれー男だ。

「面白いことってなんだよ。」

「ん、神様の正体を暴くとかかな。あいつはアバウトな要求をしてきやがったし大体色々怪しくて面白そうじゃねえか。」そうでもねーぞ

「おーうまた厳しいこと言うね、そんなことやったら神様の逆鱗に触れるんじゃないの」当たり前だろ、ここは一発かましとくか。雨雲でも作って邪魔してやろう、えーいよ。これで合ってるの?

「そんな事言ってたら雨が降り出したよ笑」

「雨どころか雷も鳴ってないか!?」ちょっとやり過ぎたか

その時だった頭からつま先に走る衝撃の稲妻。終わったー

「ありがとうガス。」レンが親指を立てながら雲の下に落ちていくのは涙無しは見られなかった。本当にごめん、、、キラ倒してくれたのに。

「嘘だろー、えええ、神様半端ないって、あいつ半端ないって普通そんな怒らないでしょ」怒ってない、、

とはいえガスは直撃で終焉してしまったがレンも翼が逝ってしまいもう羽ばたけない。ここで死ぬんだな。落ちていく落ちていく。

バッシャーン

ここは?池に落ちたみたいだ周りは幻想的な景色が広がっている。よくよく思い出してみるとここは僕がこの世界に入ってきたときの泉のようだ。じゃあ元の世界に戻れるのか??それだけは嫌だ。


僕はずっとこの地球での世界が嫌だった。もう戻りたくないさ。お父さんはこのU.S.Aでbaseball dreamを掴み取った超一流選手だ。だから僕は小さい頃から野球に誘われてしまった。だけどその度に活躍できない。僕は運動があまりできないのである。何ならmbtiで言うところのI型であり読書とかを好んでやっていた。そういうのも悪くないんだけどな。もう周りの人も分かってきてわざわざ野球に誘うようなことはして来なかった。優しいんだなと思い生きてきた。

でもそんな状況に嫌気が差していた。なんなら自分に劣等感を感じていた。やるせない自分がいた。なぜなら野球が好きだから、ずっと好きだから。お父さんの試合は全試合チェックしたりしたよ。野球がしたかったよ、みんなと。お母さんはこんなお父さんと結婚したから相当野球ができる子を期待してたみたいだけのご覧の通りの模様なので運動ができる弟を溺愛して、嫌なことがあったらこっちにあたってくる辛い世界だ。そんな僕を救ってくれたのがレンだ。彼は人当たりが良いやつで明るいやつだから最初に話しかけてきたときは警戒していた。だけど彼は他のやつとは違って野球の話をして来なかった。だけど僕から時々野球の話をすることがあったから彼は彼なりに感じ取っていたのかもしれない。ある日グローブを持ってきてキャッチボールをしようと持ちかけてきた。それはとても嬉しい出来事だった。だけど僕は一回拒んだ。下手だから上手くキャッチボールができないから。その旨を伝えたら彼は優しく微笑んで0からのスタートのほうが面白いっしょって。そう優しかったのは君だけだったよ。キャッチボールってのはただの知らない人からみたら球のやり取りかもしれないけど心のやり取りでもあるんだ。彼は友達が多いから週1位しかキャッチボールは出来なかったけれど、僕にとってはその時間が幸せだったんだ。まぁ転んで汚れたズボンは自分で洗ったけどさ。


そんなある日、彼が転校することになったと聞かされたんだ。シンジラレナーイ出来事だった。僕にとっての親友、心置き無く遊べる仲間が居なくなってしまうんだ。僕は酷く落ち込んだ、2.3日は学校に行きたくなかったさ、でも家にはいたくないから行こうと思ってたけれど、表情を影に落としてた僕をオフシーズンで珍しく家に居た父さんが止めてきたんだよ、信じられないぜ。

「何か悲しいことでもあったのか?」

流石に相手の心を読む事に長けてるだけあるなと感心したよ、父さんはその後僕を誘ってキャッチボールをしてくれた。こうやってキャッチボールをしたのは幼い時ぶりだなと感じる。たわいも無いことをやり取りしてたけど、いきなり核心をつくかのように何があったのか聞いてきた。その事を言うと、父さんは

「サプライズをすると良いさ、サプライズは人を幸せにするからな。全力で相手を喜ばせるんだ。」

「ありがとう、父さん。やってみるよ。」

父さんはやっぱり凄い人だ、1時間ちょっと話しただけで僕の心は空を向いていた。

さあ、サプライズを用意しよう!彼が好きな物を考えてみたけれど適するものは分からない…。でも全力で喜ばせたいから、、、絵を描くことにした。僕は自慢するわけじゃないが絵は得意な方だ。絵画の題材は矢を射る男だ、隆々とした筋肉を見せつけるかのような構えを見せる美しい絵を1週間以上かけて描き上げた。彼が引っ越す前に最後のキャッチボールに誘った。この絵をサプライズで持っていった。正直泣きたかったけれど笑顔で送り出したいと思ってた。でも彼は何も言わずにハグしてきたんだ、、何も言わなかったけどメッセージは伝わったさ。熱いものを感じた僕は泣いてしまったよ、まだ小さい僕にはこんなに深い愛に溢れた悲しみはなかったんだ。

別れを告げた最後のキャッチボールから数週後、僕宛てに絵が贈られてきた。勿論レンが送り主だ。その絵はあげた矢を射る男と翔く天馬だ。僕は感動した。こうなりたいと憧れた。

彼と仲良くなって僕の心は救われてたんだが、キャッチボール相手を失った僕を心の片隅が空いていた。相変わらずお母さんは相手してくれない。

思春期に入り学校のクラブで美術クラブに入った。絵を描くのは好きだったから。毎回僕は天馬を描く、空に憧れて〜。みんなは流行りのアニメとかそういうものばっかり、つまらないさ。あまり仲良くなれなかった。つまらない毎日だったな。でも時々手紙でのやり取りを彼とするのは救いだった。たわいも無い話。野球の話。そんな手紙が救ってくれてた。そんなある日ニュースを見ていたら衝撃的なニュースが飛び込んできた。レンが行方不明になったのだ。1週間以上、、遠く離れた土地で。僕には何も出来ないという無力感が希死念慮を僕に抱かせた。家を出て何時間か森の中を歩いた。そこで見つけた綺麗な泉、あの絵の中にも出てきそうだ。飛び込みたくなった、どうしようもない諦めが。そうさせた。レン、迎えに行くからな。苦しかった、苦しかった、苦しかった。


でも目が空いた。What?でも体を見ると白い肌だ。ずっと憧れ続けた姿になれたんだ。周りを見渡すと弓を携えた男が居た。泣いていた。姿が違くてもレンって分かった。そんなもんさ。お互いになりたいものに死者の世界?に来れたんだ。幸せかもな。2人でこの世界で武勲を重ねてきた。怪物を倒した。でもレンは雷に打たれたよ。また泉に落ちて、救いを求めたけど、どうにもならなかった。


仲間がいない世界の泉で唯1人で暮らせばいいのかと思ってたけど、今の僕は馬の足を持っている。仲間を探して三千里、ようやく似たようなやつを見つけた。平和に暮らした。

夢を追いかけるんじゃなくて落ち着くやつとこうやって暮らすのが楽しいってものなのかもしれないな。

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