あやまらせてください

碧色

申し訳ございません

突然謝られてもと思われるかも知れません。

しかし、私にはどうしても謝らなければならない理由があるのです。

それは、私の犯した罪によるものなのですが、この罪について皆様に知って頂きたいのです。

これは、読んだ人も呪われる、流行のホラーではなくて、ただ私の懺悔でしかないのです。この懺悔によって救われるのは私の気持ちだけで、読んでいる人も、私の謝る対象も決してプラスにもマイナスにもならないかもしれません。

それでも、読んでいただけると幸いです。



まず、端的に私が犯した罪を説明しますと、

"ズラした”ということです。

何を言っているのか分からないでしょうが、そのように表現する他ないのです。

もう少し詳しく説明します。


私は千葉の大学に通う学生で、実家から1時間程電車で通学しています。電車には40分程乗り、なるべく椅子に座りたいので、空いている1車両に乗るのが習慣でした。2号車からは何故か異常に混んでいて、なぜ1号車に乗らないのか、不思議に思っていたりもしました。


ある日、私は二限の授業のためにいつものように1号車に乗りこもうとしていました。少し遅刻気味だったので、もう発車のベルが鳴っていた記憶があります。

そして、乗り込もうとした1号車、


そこに、幽霊がいました。


朝の9時の明るい時間に、何故か真っ暗な場所があり、そこを見ると、電車の椅子の一番端に、輪郭が見えないほどぼやけてはいますが、それが居ました。


私は、それを見てなぜか、急いでホームに戻り、電車の非常停止ボタンを押してしまったんです。

今はそれが解決に繋がるとは全く思えませんが、当時はそれが正解としか思えていませんでした。何かにとにかく頼りたかったのかもしれません。


私がホームの非常停止ボタンを押すまでに電車はドアを閉め、少し出発していました。

そこで停車し、駅員の人が1人2人見回りのようなことを始めました。

私はなぜ押してしまったのか、急に罪の意識が湧き、ボタンから離れ、自販機の影に隠れて幽霊を見ていました。幽霊を視界から外した瞬間、目の前に幽霊が来るかもしれないという謎の感覚があり、怖くて仕方がありませんでしたが、幽霊から目を離す方が怖かったので、見続けていました。


ふと、幽霊が動き始めました。

空いていない電車のドアをすり抜け、

隣の1号車に比べるとかなり人のいる2号車に入っていったのです。


私はそこまで見て、急いで家に帰り、大学を休みました。

私には幽霊の意図は理解出来ませんでしたが、私が原因であることだけは理解しました。


その後遅延などの情報を家で調べると、私が何も無く押したのですから、特に問題が見つかるはずもなく、電車は再び出発していました。3分ほどの遅延が発生していました。


私がズラしたことが罪なのか、それは実際には分かりません。2号車に乗っている人に知り合いは居なかったし、その人たちの生死について、全く知りようがないのです。


ただ、私は自身の罪を完全に確信しています。


翌日、私は同じ時間、

誰も乗っていない2号車と

幽霊で満席の1号車を見たからです。


だから

謝らせてください


あやまらせてください


あやまらせてください


誤らせてください


繆らせてください


愆らせてください


あやま

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あやまらせてください 碧色 @chan828

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