二千字で描かれたというのに、海の底に潜む魂まで感じる奥深い物語です。

「夏……眠れない夜に、トラウマ必至ホラーを貴方に」の自主企画から訪れました。

この作品は、新月の夜に海の底から浮かび上がる魂の光を描いた幻想的な物語ですね。「海火(うみび)」という光の玉が、海で亡くなった人々の魂であるという伝説を軸に、主人公が絶望の中でその光景に出会う様子が巧みに描かれています。その情感豊かな文章からは、亡くなった人々の魂に対する敬意や畏怖の念を抱かせます。

物語の中で、主人公が子供の頃に聞いた話を思い出し、その話が現実となる瞬間が非常に印象的です。また、白い軍服姿の男が迷える魂を導く姿は、幻想的でありながらもどこか現実味を帯びていて、物語の緊張感を高めています。

珠玉の素晴らしいミステリー作品をありがとうございました。