第24話 パピーナの日記 其の二
秋に差し掛かる頃。快晴。
ついに、サーリャ様と魔王様が一線を越えました!
魔王様のアプローチは……ご指導した半分も出来ていませんでしたが、サーリャ様が意外とチョロかったので無事、良い関係になられたご様子。
これで、城内激熱カップルランキングの一位は、間違いなくサーリャ様と魔王様。
お茶会デートでは、何やら込み入ったお話をされていたけれど、あまりよく聞こえませんでした。
でもたぶん、サーリャ様のお母上様……あの常勝将軍のお話に違いありません。
どう見てもそっくりですものね。私も小さい頃、遊んで頂いた事もありますし、お顔はよく覚えています。目元が本当に似ていらっしゃる。
でも、魔王様がそのお話をなさるまで、私は失念していました。
だって、将軍様は自由気ままなつかみどころのないお方でしたが、サーリャ様はとても清楚で控えめな感じで、雰囲気が全然違ったので。
でも……性への興味は人一倍お持ちなのかもしれないところは、お母上様と共通しているかもしれません。
知識は王宮で教わったのでしょうけど、それを実際に体験してみたいと思うかどうかは、別の話。
ですがサーリャ様は、気になる程度だったハズの魔王様の、キスを受け入れるのがかなり早いと思ったので。
というか、「真っ直ぐにグイグイ来られると拒めないタイプ」のようですね。
少しでもご好意をお持ちでないと、なびかないご様子なので余計な心配は不要かもですが。
それにしても……今後の展開が本当に楽しみです。
まさか、サーリャ様の魔力封印の解き方が、術者よりも強い魔力の相手とエッチする事だったなんて。
あんなにプリプリと怒ってらしたのも、初めて見られて良かっ……もとい、お可哀想でした。
確かに、にわかには信じ難いお話ですが……ありそうな話でもあるので、これも楽しみのひとつになってしまいました。
私としては、それが追い風になって……サーリャ様と魔王様が結ばれる日が早くなればいいな……と考えてしまいますね。
それに、サーリャ様は本当に魔法に憧れていらっしゃるので、早く使えるようになるなら私も嬉しいですし。
というか、もしもその話が嘘だった場合、魔王様は口も利いてもらえなくなるでしょうし、サーリャ様とエッチがしたいだけで嘘をつくとも思えませんね。
そうなると……私としても、封印解除の話は背中を押す感じで接していきましょうか。
あぁ……お二人の今後の展開が、楽しみ過ぎます。
首輪を外さないのも、魔王様の独占欲でしょうし……あの重めな愛情を、サーリャ様はどんな風に受け止めて行かれるのか……。
いいえ。きっと、なんだかんだと言いながらも……。
――ふぅ。
私が隣で舞い上がっていては、サーリャ様に怪しまれてしまいますね。
落ち着け、私。
いつも通り平常心で。
平常心で、めいっぱいかみしめてゆくのです。
と……浮かれてばかりでもいけないのが、残念でなりません。
魔王様への恋愛ご指導中に聞いたお話では、王国がなぜか、サーリャ様を取り戻そうと画策しているのだとか。
しかも、婚約を破棄した隣国と一緒になって。
その情報はサーリャ様のお耳に入らないようにと、魔王様から仰せつかっていますから、これに関しては気を引き締めませんと。
また戦にならなければいいのですが……。
でも、魔王様も何かお考えがあると仰っていたので、いずれはそうなるのでしょうね。
今日の日記は、楽しいお話と難しいお話、両方の記録になりました。
次はもっと、楽しいお話ばかりが書けますように。
虜囚妃のさだめ ~魔王の甘やかな執着~ 稲山 裕 @ka-88inaniwa-ku
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