台所の青い影
ねくろん@カクヨム
台所の青い影
このお話は、とあるネット小説作者……仮にN君とでもしておきましょうか。
その彼が体験したっていう話なんですね。
N君、朝めんどくさいときはよく麺類をゆでるらしいんですね。
その気持ち、まぁ私もわかりますよね。
スパゲッティ、うどん。麺類ってラクチンでいいじゃないですか。
麺類なんて、お湯を沸かして麺を入れるだけですからね。
半分放置で作れて、ソースやタレだけで食べられる。
ただ、完全に放置すると、それはそれで吹きこぼれの可能性がある。
なので弱火にかけて待つ。
N君もそんなことをしていたんですが……。
その日の朝は、起き抜けから何かイヤーな感じが漂ってた。
空がどんよりして、雲なんて上からのしかかるみたいに低かった。
いやだなーこわいなー(迫真)
みたいな感じで、N君も嫌な気分になっていた。
そんな日でもハラは減りますからね。
N君、あーめんどくせぇな、飯でも作るか。
そう思って台所に立ったわけなんだ。
ジャー!!! って鍋に水をいれて、コンロの上にドンッと置く。
これだけやればもう準備は終わり。
あとは火をかけるだけ。
チチチチ、ボッ!
コンロがついた。
青色の炎がぼやーっと光って、鍋を温める。
しばらく待って、水がポコポコと言い出した。
N君は袋からスパゲッティの麺を出して、鍋でゆで始めた。
まぁゆでるって言っても、これがけっこう面倒なところがある。
N君が使ってるのは2mmのわりと太い麺らしいんですね。
なんで、10分も茹でないといけないんだ。
よくレンジでチンなんていうのがあるじゃないですか。
私もN君もね、アレが嫌いなんだ。
なんか溶けたプラスチックが入りそうな感じありません?
妙にプラスチックの匂いなんかしちゃってね。
だからN君も、スパゲッティの麺はいつも鍋を使ってたんだな。
エッグタイマーを10分つけて、いつものようにサイトを巡回する。
ちょっと見回ったら10分なんてすぐですよね。
麺ができたら、なんとかのソースをつけてさっと食べる。
そうしたらもう、N君もご機嫌ですよ。
飯を食ったら、ちょっとくらい嫌な気分なんてどっかに行っちゃう。
「あーやるかぁ」なんていって、パソコンで作業を始めた。
一度始めちゃえば、もう夢中ですよね。
パソコンの前にかじりついてダーッとちゃっちゃう。
気持ちわかりますよね。
一度集中しちゃうと、もう余計なことは考えたくないんだ。
作業に没頭して、キーボードをカタカタ叩いて文字を打ち込んでいた。
そうして、時間が経って、お昼前くらいになったころ――
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!!!!!!
電子音が激しく鳴りだした。
もうそうなったら、N君も無我夢中ですよね。
「何が起きたんだー! うわー!」なんて感じで大パニックになっちゃった。
何が起きたんだー!
どくん、どくん、心臓なんてもうバクバクしちゃってる。
音の正体を探るわけですよ。どこだーどこだーってね。
で、N君は気づいたんだ。
……台所だ。
そんな訳はない。
台所なんて誰も使ってませんからね。
音なんか鳴るはずないんだ。
でも……ピピピピピピピピピピ!!!!!!
激しい音がなっている。
何かがいる。
この世のものじゃない何かが。
N君はそーっと恐る恐る台所に入ってみたんですよ。
するとそいつは、ぼーっと暗い台所の奥で光ってたんです。
そう、ついてたんですよ。
コンロの火。
吹きこぼれないように弱火にして、ずーっと消すのを忘れてたんだな。
鍋の中の水、もう完全になくなっていたそうです。
いやー……ほんとにコワいですねぇ……。
台所の青い影 ねくろん@カクヨム @nechron_kkym
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます