あなたは誰だったんですか

麻木香豆

第1話

 これはもう10年以上前のことです。



 私は当時大きな失恋をし仕事がままならぬほどの引きずりようで。

 その仕事でさえも人間関係が辛く、人生にも悩んでました。


 とある日、女性の先輩から隣の市に「〇〇ちゃん」というオーラや前世が見える有名な男性がいると紹介されました。


 その先輩とは以前も何件か有名な占い師さんのところへ一緒に行ったことがあったのでまたそういうところかと。


 彼女は他の職場の人と一緒に行ったらしく面白かった!愚痴を聞いてもらってスッキリしたよと連絡先を渡されました。


 アポを取りそこに辿り着くと普通の住宅街の一戸建て。


 インターフォンを押すと中年のラフな格好をした恰幅の良い男性。

 普通に「どうぞ上がって」と玄関すぐ横の和室に通されました。


 手始めにオーラを見てもらおうとしたのですが〇〇ちゃんと呼ばれてるのは先輩曰くその人が事故をしたことをきっかけに霊が見えるようになって、子供の霊が降りて子供言葉を話すから「〇〇ちゃん」と呼ばれてたらしいのです。


 しかし私の前でおもむろにタバコを吸い始め、全く子供でなく普通の中年男性の喋り方。

 あなたのオーラはドス黒いですね、から始まってオーラとはという話が始まり。


 前世を見てもらったら私はどれだけ生まれ変わってるんだよと思うぐらい毎回違う国出身の人や職業の人を言われ、そこから毎回派生したいろんな話を聞き。


 ようやく私が悩み事を話せたものの、なんかもやっとした感じが残ります。


 それでも悩みが解消されないため3、4回通っては3時間くらい毎回彼の家で会っていました。

 が私の転職と同時に自然とフェードアウト。めんどくさいなぁって。


 その後、このことを友達に話すと〇〇ちゃんはただ若い子と喋りたいだけの口の上手いおじさんじゃん! と言われて当時はそう?と思ってたのですが10年経ってからそうだよな、と。


 それに先輩たちは友達と一緒に行ってたわけで私みたいに1人で行ったわけじゃないのです。


 彼は一体何者だったんだろうか。子供が乗り移ったとか霊が見えるとか本当だったのだろうか。検索しても出てこない。


 何事もなかったのですが物騒な時代、自分一人で独身男性の家によくもまぁ上がったもんだと。


 悩み事をなんとかしたい、それだけの気持ちだけで乗り込んだ自分の危うさ……盲信してましたね。危ない危ない。


 そしてどのような意図で〇〇ちゃんを、あの女の先輩が私に紹介したのか。


 その先輩とは人間関係の悩みの原因だったため、もう会うこともないし聞くこともないので真相は闇の中です。



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あなたは誰だったんですか 麻木香豆 @hacchi3dayo

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