星空の下で消えた猫

@d_kokucho

星空の下で消えた猫

この街の片隅にあるコンビニの入り口には、ちょっと気まぐれな自動ドアがあった。

そのドアは「ここのドアは反応が悪い」とか、「なかなか開かないんだ」と噂になっていた。


ある日、一匹の小さな影がそのドアの前に立った。ドアはピクリとも動かない。しばらく待っていたようだが、やはりドアは開かなかった。

彼は「しかたがない人の後ろについて入るか」とすぐに来たお客について中に入ることにした。

店内は涼しく、心地よい空調の中で少しの空いた休むことにした。お金はないので何も買わずに出ることにした。


数日後、また彼はコンビニに来たが、ドアは開くことはなかった。知らない店員がコンビニのなか彼を不思議そうに見つめていた。

新しい店員が入ったのだろうか。彼が「ドアが開かないんだ」と訴えても、店員はただ変な顔をするばかりだった。

しかたなく人の後ろについて彼が入るとやはり中は涼しかった。


それから数日後、集会からの帰りに再び彼がコンビニに立ち寄ると、今度はドアがスムーズに開いてくれた。

中では店主が待っていて、暖かく、柔らかい何かをくれた。心地よい匂いがした。うまい。

「吾輩には名前がない。何と呼ばれようとも、これを貰えるならばかまわない」と、猫は思った。

次の瞬間、星々がきらめく夜空に溶け込むように、彼の姿はふわりと光に包まれた。

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