幽霊なんてないさ

ただのネコ

寝ぼけた私が見間違えたのさ、きっと、たぶん

 私の妻は、魔女の血筋です。


 え、なにそれ? と思われた方は、私の別のエッセイの方をご覧くださると幸いです。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330655235177535/episodes/16818023211715272168


 宣伝はこれぐらいにして、上記エッセイにも書いたように娘のお昼寝中にふとした拍子に霊の話になった我々夫婦。

 妻は色々と霊の話を聞かせてくれたのですが、「あなたは何かこういう話はないの?」と振られて困ってしまいました。

 なにせ、私は世にいう『霊感』が全くないタイプ。そういう話が嫌いな訳では無いのですけど、体験したことは無いのです。

 それでも、と妻にねだられた時に、ふと思い出したことがありました。


「幽霊を見た、と思ったことならあるな」

「話して」


 それは、私が小学生にもなっていないころ。

 実家の寝室で親と一緒に寝ていた私は、夜中にふと目がさめてしまいました。

 寝室の中はまだ暗いし、親兄弟も眠っています。

 はだけてしまった布団を直してもう一眠り、と思ったところで視線がふと窓の方に向きました。


 そこに、いたのです。

 窓のすぐ横に、白い大きな影が。


 幽霊だ、と思った私は、慌てて布団を頭までひっかぶりました。

 幽霊と言っても、白い布をかぶったようなチープな感じ。

 幼い私は、何かの見間違いだという理性と、でもホンモノだったらどうしようという感情の狭間で迷いながら、しっかり確認する勇気が持てずにそのまま寝てしまいました。

 翌朝、幽霊がいたところを見ると白いカーテンが揺れていましたとさ。


「じゃあ、結局見間違いじゃない」

「そうだよ。だから、『幽霊を見た話』じゃなくて『幽霊を見たと思った話』なのさ」

 そんな話をしていると、娘がお昼寝から起きて、霊の話は終わりました。

 私としては妻の話の方が面白かったので、それをエッセイ書き留めて、この話はおしまい。のはずだったんですが。


 ふと、気付いてしまったのです。

(……あれ、あの部屋ってカーテン付けてたっけ?)

 あの部屋どころか、うちの実家は父のこだわりなのかブラインドか障子ばかり。

 じゃあ、あの日見たカーテンは、なに?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊なんてないさ ただのネコ @zeroyancat

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説