第6話 シスターさんを救え
俺はまず、教会の裏口から入り、足音を立てずに移動する。
聖堂の中央辺りにはシスターさんが居たが、やはりと言うべきか、オークも居る。
シスターさんが一人で3体のオークを相手取り、嬲り者にされていた。
「駄目じゃないか、全部飲んでごっくんしなきゃ。でないと今の女神の教えを広められないぞ~。」
「そうそう、今の女神は俺等オークチンポの言いなりだからよ。ぎゃはは!」
「そらそら! もう仕舞いか? まだまだこれからだよシスターちゃん!」
「うう………ううう………………。」
こっそり壁際から覗いていたが、やはり酷い事になっている。
はらわたが煮えくり返る思いがするが、ここは我慢だ。
勢い余って飛び出せば、間違いなく3体のオークを相手取る事になる。
俺は一人、分が悪い賭けだ、だが嫌いじゃない。
今オークの1体は俺に対して後ろを向いている、チャンスだな。
ゆっくりと近づき、しかし素早く接近する。狙いはオークの首。
「ぶもおおおおーーー! もう出そうだ! いくぞ! シスターちゃん!」
「いやあ! いやああ! 外に、外に出して!」
今だ! チャンス到来! 俺はカタナを抜き、そのままの勢いに乗せ水平切りをオークに見舞う。
ズシャッ! という音を出し、オークの頭が切り落とされて床に転がった。
「お!? もうイッたか?」
他のオークが何か勘違いをしている、まったくもってチャンスだな。
頭部を切り落とされたオークは、ビクンビクンと波打ちながら首から血しぶきを上げ、ばたりと倒れ込み、絶命した。
「んん? どうしたい? 出したんじゃないのか?」
「次は俺だ! 俺に変われ!」
どうやらオーク共は仲間の事など見ていないらしい、女しか見ていないようだ。
よし、まず一つ。
俺は静かに後退し、物陰に隠れる。
シスターさんは目を瞑っている為、何が起きているか解らない様子だった。
それで良い、まだ騒がれる訳にはいかないからな。
他のオークがシスターさんとまぐわおうと移動し、おっぱじめようとしたその時、俺はダッシュで接近し、足音を立てずにオークに挑む。
案の定、オークは目の前の女に気を取られて、こちらには気付いていない。
オークがシスターさんと始める瞬間を狙って、先程と同じ様に首を切り落とす。
後ろからのバックスタブだ、ダメージが半端ないだろう。
思った通り、オークは一撃のもと、頭が切り落とされ、床に転がる。
先程のオーク同様、首から血しぶきが上がる。
オークの体がビクビクと波打ち、そのまま床に倒れ込む。
よし、これで二つ。
「なにやってんだあ? お前等? 次は俺様だからな!」
こいつ、まだ気付かないのか? 相当女しか見れていないようだ。
3体目のオークもまた、同じ様にシスターさんに腰を押し付け、事に励もうとしていた。
「させるかよ。」
突然俺の声が聞こえた事により、オークは一瞬こちらを向き、俺と言う存在を認識し始めた。
「だ、誰だおめー?」
「名乗る程の者では無い。」
そう言いつつ、俺のカタナはオークチンポを切り落とす。
「ギャアアアアアア!? き、貴様!? 何をする!?」
「気にするな、お前等が今まで人間にやってきた事だろう?」
間髪入れず、俺は最後のオークの首を水平切りで切り落とす。
「あばよ。」
「ぎゃ!?」
オークは一瞬の断末魔を上げ、頭部が床に転がり落ちる。
切り落とされた頭が無い体は、首から血しぶきを上げ、ビクンビクンと波打ち、床に倒れてそのまま絶命した。
「ふーむ、こんなもんんか。一丁あがりだな。」
辺りには静けさが漂い、オークの血の臭いが充満している。
正直気持ち悪いが、これでシスターさんへの俺の恩義は返した事になるか。
まあ、これからどうなるかは、まだ、解らんが。
オークが倒された事により、シスターさんは目を瞑っていたので、何が起きたのか把握できていない様子らしい。
まあ、俺があれこれ説明しても良いが、ここは黙って大人しくしておこう。
「い、一体、何が、どうなって?」
おや、シスターさんが目を開けたか。目の前の惨状を見て、戸惑っている。
無理も無い、いきなり3体のオークに犯されるところを、いつの間にか止んでいたからな。
「あ、あのう、貴方は大丈夫ですか? これは一体?」
うむ、混乱していらっしゃるようだ、だが説明するのも面倒だ。
ここは白を切ろうと決め込み、俺は首を傾げ、両手の平を上にし、肩をすくめた。
「さあ? どうなっているんでしょうね。」
シスターさんは俺を見て、驚きの表情をしてこちらに寄り添って来た。
「貴方は大丈夫なのですか? どこかお怪我などは?」
「いえ、大丈夫だと思いますよ。こう見えてモブですので。」
「モブ?」
なんてな、俺は只のモブだよ。今ここで手柄を誇示したって、全ての魔物を相手にしなくちゃいけなくなる。
それは正直困る、俺はまだ、この異世界で何が出来る奴なのか解らないからだ。
だが、オークを3体倒した事によって、少なからずレベルがアップしたと思う。
俺には解る、今までとは違い、身体に力が漲って来るこの感覚。
「これがレベルアップか。」
いいね、悪く無い。
具体的な数字は解らないが、自分が少し強くなった事だけは理解出来る。
「兎に角、シスターさん。喉が渇いたので、お茶など頂けますか?」
「あ、はい。今ご用意します。」
シスターさんは安全な身になった事で、少しではあるが嬉しそうにしていた。
さて、先ずはここからだな。
シスターさんにこの世界の歴史とか色々聞こうと思う、今女神とかヴァルキリーがどうなっているのか、とか。
ファンタジーエロゲのモブに転生しましたが、このままだとイベントで命を落とすので、強くなってトゥルーエンドがバットエンドの運命を回避したいと思います。 月見ひろっさん @1643
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