“私の事、スキ?” 聞いてはいけない言葉を彼に私は言ってしまう。

神石水亞宮類

第1話 “私の事、スキ?” 聞いてはいけない言葉を彼に私は言ってしまう。




“私の事、スキ?”


聞いてはいけない言葉を彼に私は言ってしまう。



彼は私と付き合ってから一度も私に“好き”と言ってくれた事がない。

言葉にしなくても俺の気持ちが分かるだろって彼に最初に言われる。

そんなの、“言葉にして言ってくれないと分からないじゃない!”

たった一度でいい! 私に好きって言ってよ!



・・・私がこの言葉を言った後、彼は少しイライラしだした。



『なんでお前は、分かんないんだよ!』

『えぇ!?』

『俺がなんでお前に、“好き”だって言わないか分かるか?』

『・・・ど、どういう事?』

『俺はお前に、言葉としてじゃなく! 態度や行動で示してるだろうが!』

『“そ、そんな昭和なやり方、”』

『寡黙な男がカッコいいと育った世代なんだよ、俺は!』

『今は令和よ、はっきり言葉にして言ってよ!』

『“それを言うなら? 文章だろうが、今の子達は文章で伝える子が

多いと聞くぞ!”』

『それなら“恋文”でもいいじゃない!』

『な、なんで俺が、お前にラブレターを書かなきゃいけないんだよ!』

『なにしろ! “私が分かるように【好き】だと示してよ!”』

『・・・ど、どうやって、』

『そんなの私に聞かないで、自分で考えたら?』

『・・・・・・』



・・・彼は彼なりに、いろいろ考えてくれたんだと思う。

【好き】だと私に言葉以外で伝える方法を。

なかなか彼もどうしたらいいのか分からなかったのかもしれない!

でもある時彼から写真を渡される。


“いつ撮ったの?”


海に行って、一人で写真を撮ってきたらしい。

ドローンを飛ばして、浜辺には大きな字で“すき”と書かれている写真。

私はその写真を彼から受け取って、感動してひとりで泣いてしまった。

彼は優しく私に、ハンカチを渡してくれる。

彼の愛を“初めて感じた瞬間だった!”

彼は照れくさそうに私にそっと寄り添ってくれていただけだったが、

それが何より私は嬉しかったのだ。



『“やればできるじゃん!”』

『馬鹿! もうこんな事はこりごりだ。』

『でも今までで、一番嬉しいプレゼントだよ!』

『“たまには、こういうのもいいのかもな。”』

『“今私は、愛を感じてるわ!”』

『大袈裟だな!』

『一度もこんな事してくれなかったから、凄く嬉しいのよ!』

『そんな顔、初めて見たよ。』

『初めてしてもらったからじゃないの。』

『・・・うん、そうだな。』

『そうだよ。』



彼は私以外に今まで付き合った彼女にも、“一度も好きと言った事がない”

らしい!

元々、女性に好きと言わない男性。

だからなのか? 今まで彼と付き合っていた彼女は、彼の愛を感じれなくなり

別れてしまったと彼から聞いたわ。

確かに? “一度も好きと、付き合ってる彼女に言わないと?”

女は愛を感じないのかもしれない!



・・・でも? 彼からあの写真を受け取った時、彼の愛を私は感じた!

初めて彼の愛を感じたのよ。

彼は、態度や行動で私への愛を示しているというけど?

私には何にも伝わっていない!




彼は今まで私以外に付き合っていた彼女にもそうだったのだろう。

私も彼の元カレのように、彼の愛をこのまま何にも感じれなかったら

別れていたかもしれないわ!



でも? 彼は言葉にしてではないけど、私に愛を伝えてくれた。

本当に本当に私は嬉しかったの!

初めて彼の愛を感じる事ができたから。

“だから私は彼と結婚します!”

今の彼なら、私は彼の愛を感じる事ができる。

どうか、私と結婚してください!

そう、私は彼に伝えるつもりよ。

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“私の事、スキ?” 聞いてはいけない言葉を彼に私は言ってしまう。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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