導かれて(数日前に見た夢)
電子サキュバスショコチャ
無名
青年は遺跡を調査する任務の途中で、とある街に立ち寄った。遺跡まではまだ距離があったためその街にはたまたま宿を借りての休憩がてら寄るだけ、念の為軽い聞き込みをする程度の重要度の高くない街であった。
調査兵である彼らはこの街では特に任務を意識することなく、ただただ羽根を伸ばし、自由な休憩を各自とっていた。
主人公である彼はその街の露店で一人のおばあさんに声をかけられる。
「たまたま今日掘り出し物があるんだ、買ってかいかないかい?」
そこで見せられたのは1つの装飾品。(チョーカーかブレスレットか、ネックレスか、それは判然としなかった)
それを手に取ると謎の言葉がいくつも頭に響き渡る。文字のような、声のような。意味はわかるがその言葉の群にはつながりを見いだせない。
「7人の――――人が」「歯車を支える」「地下―――に」「始まった――」「方眼に寄せてまだ――」などと、多くの言葉が押し寄せるがそれらが繋がらない。
その言葉自体に意味がないのかもしれない。
それらは一瞬の出来事で、気がつくとその言葉の濁流は収まっていた。
普通ならばその現象はこのアクセサリーが原因で、気味が悪くなり手放したいと思うはずだが、青年はそれを買い、身につけた。
それから青年たち調査兵たちは任務の現地である遺跡に向かい、その後消息を絶った。
青年にはその最中ずっと声が聞こえていた、それはアクセサリーを手に取っていたあの言葉の濁流ではなく、一人の少女、あるいは女性の声だった。その女性は青年と同じ光景を目にしているように、話しかけ、対話を楽しんだ。
ところどころ、その女性は導き、青年を呼ぶ。
それは女性が解放を求めているからか、あるいは別の理由によるところなのか。
このアクセサリーを身に着けてから、青年は常人とは思えぬ力を発揮するようになった。
遺跡までの道中にいる魔物退治や、遺跡内部の強力な魔物の討伐。それらを軽々と、楽しむように行った。大きな力を振るうことに楽しさを見出していた。
アクセサリーを身に着けてから青年は軽剣から超大剣に武器を変えていた。
青年が得た力は怪力だった。
調査兵や青年が消息を絶ってから、別の調査兵である少年が同じ街に立ち寄り、また今度も露天商に呼び止められ、アクセサリーを受け取る。
言葉の濁流が頭を駆け巡るが、少女、あるいは女性の声が聞こえることはなかった。
そのアクセサリーを買い、少年は身につける。
その瞬間、異形の魔物たちが街に溢れかえる。黒で塗りつぶしたような不定形の魔物たち。
少年はまた、あの青年のように常人とは思えぬ力を得て、何かに導かれるように、魔物達をなぎ倒しながら、1人で急ぎその遺跡に向かった。
少年が得た力は黒く塗りつぶしたような魔法だった。
導かれて(数日前に見た夢) 電子サキュバスショコチャ @swll
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