旦那日記

小柳 セツ

第1話 ラッシュアワー

まだ婚約中だったある朝。


マコトの出勤に合わせて私も一緒に出掛けることになり、池袋から埼京線に。

ご存じの通り朝の埼京線は人人人。その日も2本電車を見逃して、3本目。やっとの思いで乗れた。

私たちの隣にはOLらしき女性。ドアが閉まりそうになった時、30代ぐらいの男性が飛び込んできた。

隣の女性をぐいぐい押して無理やり乗車しようとしてる。


O L女性「すみません、もう無理です、一本待ってください」

30男「うるさい!俺は急いでるんだ!乗せろ!」


わ~嫌な人が乗ってきたなと思いながら、私はマコトと目を合わせた。


ドアが閉まり、電車は池袋から新宿へ。

乗ったは良いが、30男がぐいぐい押してくる。

思わず私も「痛っ」と声が出てしまった。


OL女性「押すの止めてくれませんか?」

30男「なんだよ、うっせーな。調子にのるなよ。俺だって狭いんだ!」

OL女性「私だけじゃないんです。後の方々も押されてるんです」


急いでるんだったら、早起きしてゆっくり通勤すればいいのに~

狭いのが嫌なら空いてる電車に乗ればいいのに~

後の人達への気遣いができる彼女はすごいな~

なんて思いながら私は聞き耳をたてていた。


30男はブチブチと男らしくない文句を言いながら彼女を睨みつけ、とうとう彼女が泣きそうになったその時、マコト登場!


マコト「そうだ!彼女の言ってることが正しい!」

30男「なんだよお前、関係~ねぇだろ。口出しすんな!黙ってろ!」


私の心臓は一気に緊張。そう、マコトは売られた喧嘩は絶対買うタイプ。

30男よ、喧嘩売る相手を間違えてる~!


マコト「彼女の言う通り周りの人達も迷惑してるんだよ」

30男「んなわけね~だろ。うっせ~な。誰が迷惑してんだよ」

マコト「よしわかった!じゃあ今すぐここで多数決するか!お前のせいで迷惑している人が何人いるかわかるぞ!は~い、みなさ~ん、これから多数決取りますので、ご協力お願いしま~す!」


30男はバツが悪いのか、下を向いて黙ってしまった。


マコト「朝ぐらい気持ち良く出勤したいよね」

OL女性「ありがとうございました。朝からイライラしてる人も可哀そうですね」

マコト「そうだね~」


そして新宿に到着。30男はドアが開いたとたんに、走り去った。私も電車を降りながら彼女と目配せし、親指でグッジョブの合図。彼女は私に「ありがとうございました。」と言って人混みに消えてった。

泣きそうだった彼女が笑顔になって良かった。


「今さ~彼女お前にお礼言って、お前もグッジョブしてたけどさ、お前なんにもやってないじゃん。なに、グッジョブしてんだよ、笑」とマコト。


マコトは人前でも大きな声を出す。

今回のエピソードは、マコトの良い例かな。

悪い奴じゃないんだけど、面倒くさいんです 笑





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

旦那日記 小柳 セツ @cestbon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ