第4話
玄関が開く、買い物から帰ってきて大荷物の葵。それに気づいた娘の柚希は駆け足で出迎える。
「おかあさん、おかえり〜。一緒に買い物したかったぁ」
「安売りでゆっくり見れない日だったからね〜。別の日に一緒に行こっか」
「は〜い」
同棲を経て結婚。柚希が生まれた。小さい頃からなんでも経験させた方がいいと知り、家族であちこち出掛けた。
いつも漫才の勢いでパパ、ママと呼び合った葵と祥司。どこで聞いたのか柚希は、おかあさん、おとうさんと言い出した為に、すぐさまパパやママと言うのは終わりにした。
「祥ちゃんとお留守番、ありがとうね〜」
「おとうさん寝ちゃったから、イタズラした」
柚希のそんな報告に、葵はソファで昼寝している祥司を覗き込んだ。
タイミングよく起きた祥司に、「良い活躍してるじゃない」と葵は吹き出す。
「葵、お帰り。なに、どうしたの」
「寝癖、凄いことになってるよ」
「えー? ちょっと……寝癖じゃないんですけど?! 柚希のヘアゴムついてる」
「ツインテールにした〜」
こだわりを言いながら、柚希は人形遊びの続きをする。
「寝ちゃう祥ちゃんがいけないの〜」
「寝ちゃうおとうさんがいけないの〜」
葵の真似を完コピしてしまう柚希。女の団結に、祥司はいろいろと諦めた。
「昼、どうしようか。うどんがあった気がするんだけど」
「さっぱりして良いかもね」
祥司がキッチンに立つと、柚希が駆けていき、「手伝う〜」とTシャツの裾を引っ張る。
「それじゃあ、柚希は卵をしっかり混ぜといてくれる?」
「は〜い」
片手鍋を二つ。沸騰したらうどんを入れて茹でる。もうひとつでは、市販の出汁を入れたあと水溶き片栗粉を入れた。
「おとうさん、卵は?」
「お〜、良いタイミング。助かった」
片栗粉が入ってる出汁、卵がふわりと固まる。
ザルで湯をきったうどん。葵が用意してくれた器へ均等に盛った。餡をかけて、出来上がり。
葵、柚希、祥司。三人になった食事、「いただきます」と声が広がる。
寝癖 糸花てと @te4-3
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