第5話 パルデガラン山脈

街ができたことにより、このダンジョンには活気ができていた。だけどいざマップを見渡すと、中央に湖と世界樹、その南に要塞都市があるだけなのだ。それ以外ほとんどスーパーフラット、何にもないのだ。これじゃ不自然すぎる、ということで視覚的にも肉体的にも滅茶苦茶印象に残るもの、それは山である。これがあれば、人の進行方向は制限されるは、登るのに労力がいるわでマージで大変、山があるだけで人の通り道を再現できるのは神として、それ以外にも自然感がめっちゃ溢れる、そう緑が宿るのだ。


山の大きさは進路を制限したいだけなので標高そこそこの登れないわけじゃないけど、登っていくより平坦な道通った方が良くねっていう感じのものを作っていく、イメージは鎌倉みたいな感じで一箇所に分かりやすく通れるみたいな感じにして、それ以外は通るのきついけど通れるっていう感じの通路にする。鎌倉の山の切通しみたいな感じ。


プランを決めるとすぐに創作活動に取り組んでいく、こうなると私は止まらない。ゾーンに入るというやつだ、ありったけの選択肢を全てかき集めて、自分の納得する作品自然を作っていく、自然の形は歪だ、対称な自然なんて存在しないし、自然は人口を嫌う、西洋人は人口的に調和された自然を愛するが、私は違う、自然そのままの“歪”という形を再現しなければならない、そうしなければダンジョンとして不自然な形になってしまう。私はそれを恐れている、または、自分の作る作品が変になるのが気に食わない、いわゆるプロ意識というやつだ。私はダンジョン制作にいつのまにかそれほどのプロ意識が芽生えるというほど入れ込んでいる。ハマっている、まだダンジョンが公になっていないのにも関わらず。


この創作活動にゲームの様な世界に、ナニか期待を見出しているのかもしれない。


とか思っている私も、今ワールドエディットに振り回されている。混乱させられている。調和しない様に、同期しないように、それでも不自然にならないように。


山の形のイメージみたいなのをある程度整え終わったら後は生成するだけである。私が今までやっていたのは視界にある蒼い点と点で出来た巨大な山のイメージだった。この自分で製作した山を今から実体化をするのである。


「コア、イメージを実体化して、」


—承認しました。イメージ体を実体へと変換します。


すると何もなかった透明な点が、実物へと置き換わっていく、変換し切るまでの時間は素早く、あの規模の“山”がほんの20分程度で実体化したのだ。



所で話は変わるが、日本に生えている木は殆どが杉やヒノキだ。それは、戦後の拡大造林政策による物である。私の知る限り杉や檜がないのは北海道くらいだ。


私的にはこの山は自然をイメージしたいので、統一された山を作りたくない。


「コア、この山で使えそうな木を見せて」


—はい、わかりました。


冰木アイスウッド、緋木、刃桜、吸血木、静樹、騒木、声を奏でる樹木、霊木、青に侵食された木、幻樹、霧木………



と言葉の陳列もとい画面での表示も含めて1200種類ほど羅列されただろうか、私はその言葉の羅列を聞き流しながら良さげなやつがあったら詳細を見て、良さげのやつがあったら詳細を見てを繰り返していた。全部見終わった頃には候補として6種類ほどが浮かんだ。迷い木、雑木、誘い木、魔除け木、魔呼び木、払い木の系6種だ、これらの木の説明をする。迷い木…木の近くの生物の思考とは別の方向に行かせる木、文字通りそれがあると迷うことからその名前が付けられた。雑木…なんの特性もない様々な木、様々な種類があることから雑木と言われている。誘い木…知性の持つ生物を寄せ付ける木、人を遠くから誘うから誘い木と呼ばれている。魔除け木…魔物モンスターが忌避するナニカを発する木、魔物が寄り付かないから魔除け木と呼ばれている、加工すると魔除けの効果の持つものを作れる。魔呼び木…魔物を呼ぶ木、魔物を呼び寄せるナニカを発する木、魔物、特に強いものはそこに居座り続ける。払い木、生物が本能的に寄り付かない木、本能的に避けているので、誰もその木の存在に気づかないし寄り付かない。といった感じだ、私的には雑木を主にして、他はギミックとして使おうと思う、魔呼び木や迷い木、払い木は特に使えそうだ。世界樹周辺の人払いなどにも使えると思う、思いついたら前は急げ!速攻実行していく。


禿山だった山に髪を生やすが如く!雑木を大量に生成していく、山から都市までの距離も中間から山までは森のような形にして木々を埋めていく、山はそこまで高度は高くないので、山頂まで木を植える、勿論反対側も手抜きはしない、木々で埋めていくのである。


木々を殆んど植え切ると、次はギミック作成だ。それぞれの方向の山頂に魔呼び木を生成して、そこそこ強い魔物を生成する、全部で山は北、北東、東、南東、南西、西、北西の系7つある。なぜ南だけないかと言うとそこには大きな通り道平原があるからだ。そして、山頂に配置する魔物だが、その魔物だけどこれにしようと思う、岩の大巨人ロックエレメンタルこれを配置する。


「コアロックエレメンタルを7つの山に配置して」


—はい、ロックエレメンタルを生成します。………了、ロックエレメンタルの生成に成功しました。


これにより、この世界で初めての山生成されたのである。

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オープンワールド•ダンジョン 水瀬 若葉 @jacknextplay

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