第9話 一生、いっしょ♡

 数年後。


 俺たちは……俺と梢ちゃんは今日、結婚式を挙げる。


 大学を卒業すると、すぐに梢ちゃんが家に押しかけてきた。


 結婚式とかの準備は結構、時間がかかる。梢ちゃんの理想の結婚式をしてあげたくて、時間もお金も惜しまずに準備した。


「旦那さま! 着替えが終わりました!」


 控室の扉が開いて、ウエディング姿の梢ちゃんが入ってくる。


「梢ちゃん」

「ふふ、どうです? 今日のためにダイエットを頑張った甲斐があるんじゃないですか?」

「うん。でも、梢ちゃんは元々綺麗だよ。今日からは無理しないで、いっぱい食べてね」

「旦那さま……!」


 梢ちゃんは……俺の奥さんは、本当に綺麗だ。


 今でも時々、本当に俺なんかが旦那でいいんだろうか、と思ったりする。

 だけどありがたいことに、梢ちゃんはずっと、俺を好きなままだ。


「嬉しいです。私、本当にいーくんのお嫁さんになれるんですよね」

「うん。こっちこそ、ありがとう。梢ちゃんの旦那にしてくれて」

「ふふ。私、本当に幸せです。ちゅーしていいですか?」

「化粧落ちない?」

「ちょっとだけですから」


 そう言って、梢ちゃんは俺にキスした。





「では、誓いのキスを」


 神父さんにそう言われて、梢ちゃんは緊張した顔で俺を見つめた。


 誓いのキスって……こんなに緊張するんだな。


 いつものキスとは違う。これはきてくれたみんなに、そして梢ちゃんに、永遠を誓うための儀式だ。


 梢ちゃんのことは、俺が一生幸せにする。


 深呼吸をして、俺はゆっくりと梢ちゃんに近づいた。


「梢ちゃん」


 小声で名前を呼ぶ。


 あー、本当、可愛い。

 今日からはこんなに可愛い子が、俺のお嫁さんなんだ。


「愛してるよ」


 他の人には聞こえないような小声で言って、梢ちゃんにそっとキスする。


「旦那さま……」


 うっとりとした声で呟くと、梢ちゃんは満面の笑みを浮かべた。


 あれ? これ、まずくないか?

 だって、こういう表情をした時の梢ちゃんは……。


「一生、一緒ですからね、旦那さま!!」


 梢ちゃんの大声が、式場中に響き渡った。

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自称『俺の嫁』な幼馴染が、正式な『俺の嫁』を目指してグイグイくる 八星 こはく @kohaku__08

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