最終話:すべての神様と人類が平和でありますように。

遊月那姫ゆづきなひめと遊星と阿加流姫あかるひめは異界神獣鏡で

黄泉比良坂から現世に帰ってきた。


「遊星?・・・生きてる?」


「人間の形を留めてるところを見ると成功したみたいかな?」

「もし、生き返ってなかったら魂のままだから肉眼では見えないからね」


アカルが言った。


「遊星よかった・・・ほんとに、よかった」


そう言って遊月は遊星に抱きついた。


「お〜っと・・・とっとっと・・・」


「俺、生きてるみたいだな」

「これで二度目だよな、遊月に命救われたのは・・・」


「召喚者がいないと困るからね」


「遊月がここにずっといてくれたら呪文唱えることもないし、召喚するこよも

ないよ」


「アカルさんありがとう」

「君って、あんなふうに傀魔って化け物と戦ってきたんだね」

「神羅さんもアカルさんも尊敬」


「俺、反省だな・・・もっと強くならんきゃ」

「ヘタレなんて人に言わせないようにさ」


「よかったね、遊月、遊星くん」

「じゃ〜私は神羅が待ってるから帰るね」

「あとはふたりでエッチでもセックスでも好きにやりなさい・・・じゃ〜ね」


そう言うと阿加流姫は三日月丸を引っさげて神羅の元に帰って行った。


次の日、遊星は学校を休んだ・・・。

遊月をひとりマンションにおいて学校へ行く気にはなれなかった。


たいがいは同じ危機、同じ経験をした恋人同士はより繋がりが強くなるっていう。

きっとふたりもそうなったに違いなかった。


「遊月・・・今更だけど、ほんとに俺の彼女・・・恋人でいいの?」


「いいよ・・・遊星を、最初踏切で助けた時から私たちはきっとこうなる

運命だったんだね 」


「俺、姫巫女様の彼女に恥じないような男になるから」


遊星が学校を休んだので、また例の男がやってきた。


「遊星、いる〜?」


「またおまえか、ヨコチン」


「まあ、ヨコチンさんお元気してました?」


「元気元気、遊月ちゃん、ご機嫌いかが?」


「毎日楽しいですよ」


「いいよな〜遊星・・・こんな可愛い彼女がいて・・・」


「俺さ、この間、迦具夜かぐやさんに告ったら、往復ビンタくらったわ」


迦具夜 姫かぐや ひめか?・・・よりによってあんな猟奇的な女

無理だって ・・・」

「さすがに俺だって迦具夜 に告るのは避けたぞ」

「あんなのに手を出したら病院送り間違いなしだからな」


迦具夜 かぐや ひめの一件は「かぐや姫は満月の夜エロくなる」を参照。

https://kakuyomu.jp/works/16817330651070689725


「お前らみたいな幸せそうなカップル見てると人生嫌になってくるわ・・・」


「ふん、何も知らないくせに・・・」


「そうだ、これから三人でスーパーに買い出しに行ってさ、マンションの中の

公園で焼肉パーティーしようぜ 」


ヨコチンはたまにいいことを言う。


「いいですね遊星が無事生き返ったお祝いね」


「遊月ちゃん、なにそれ?遊星が生き返ったって?」


「なんでもないよ、お祝いは、すべての神様と人類が平和でありますようにって

のでいいんじゃないか?」


「よく分かんねえけど、平和が一番なのはたしかだな」


そして次の日、遊月那姫は天宇受売命あめのうずめのところに死返玉まかるがえしのたまを返しに行った。


「どうしても人間界に留まるつもりか?」


「私のわがままをお許しください」

「今の私には遊星しかいません」


「おまえの彼氏は幸せ者だな」


「幸せなのは私も同じです」


「この度は色々、お世話になりありがとうございました、感謝しています」

「では、お師匠様、私はこれにて失礼します」


「時々で良いから夫を連れて遊びに来い」


「はい!!」


遊月は嬉しそうに笑った。


神羅と阿加流姫が切っても切れない関係であるように、遊星と遊月那姫も切っても

切れない仲になった。

いや、遊月のほうが遊星と夫婦であるぶん繋がりはより一層強くなったかな。


これからも二人の愛に満ちた生活は続いていくだろう、遊星が浮気さえしなければ。

でも人間っていう者は時々魔がさす生き物だからね。


ってことで後にも先にも人間と姫巫女が結婚したって話はどこの文献にも載って

いない。


おしまい。

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