日本一の石段 (熊本県下益城郡美里町)

 皆さんは、見上げても連なり続ける石段を見たことがあるでしょうか?

 そんな風景に出会えるのが、美里町にある『日本一の石段』です。


 その段数、なんと3,333段!

 標高差にして620メートル!

 終着点は標高860メートルで、長さも2.9km とちょっとした散歩コース…どころの騒ぎでは有りません。

 1,000段目に辿り着くのも一苦労です。

 2,000段辺りを過ぎると、息はアガリ、膝は笑いだす始末。

 3,000段付近になると、当初の目的は姿を消し、ただただ苦行に耐える修験道の山伏のように、誰もが喋ること無く、黙々と登っていきます。


 何の冗談か嫌味なのかと言われそうですが、頂上には『釈迦院』というお寺が有ります。

 さて、なんだかんだと愚痴を言いながら上り詰め、周囲360°を見渡せば、木々の生い茂る山海の間から見えてくる八代平野と不知火海、まさにという言葉に尽きます。


 絶景を楽しみ、『釈迦院』への参拝も済ませ、意気揚々と石段を降るのですが…実は本当の地獄はここからはじまります。

 石段ので、散々に痛みつけられた足回りが悲鳴を上げるのです。

 膝が笑うを通り越し、膝に力が入らなくなります。

 これが意外と致命傷でして、自分の意志に反して石段を軽快に居りていく、感覚の麻痺した足…そうです、転びそうになる恐怖が石段を降るたびに襲って来るのです。

 思わず手すりに捕まって、千鳥足で石段を降りるさまは、生まれたばかりの子鹿のようです。

 冗談抜きに、休憩を挟みながら徐々に居りないと、文字通り石段をという事故を起こしかねません。


 実際、登るよりも降りるほうが倍の時間がかかってしまう有り様です。

 登山をした際にも、同じような症状に陥ることはありますが、いかんせんこちらは『石段』ですので、膝へのダメージも半端ありません。

 会社の罰ゲームで無理矢理踏破させられた翌週一週間は、いつ膝が笑い出すのかビクビクしてましたし、太ももを筆頭に、ふくらはぎからスネに至るまで、まんべんなく筋肉痛で苦しみました。


 こんなえげつない経験をしてみたいと思う奇特な方が居られましたら、是非チャレンジしてみて下さい。

 なお、帰路につく際には、十分な休養を取りながら移動されることをオススメして、この話を終わりたいと思います。

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聖地巡礼? たんぜべ なた。 @nabedon2022

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