第7話
次の日は、本当の地獄だった。
――あんな噂が、こんなにも広まるだなんて思っていなかった。
顔が青白くなっていくのを感じた。
頭がキーンとして、動かなくなっていくのを感じた。
彼の影響力は凄まじいものだった。
それは、「死にたい」と、「消えたい」と思わせる程の威力があった。
――もう、消えようと思った。
この世を生きることに疲れた。
視線を向けられることに疲れた。
背中にのしかかる気持ちに疲れた。
だからね、もう死のうと思うんだ。
だから、最期に私の気持ちをここに記した。
これを、君は読んでいてくれることを願います。
もう、私はこの世にいないでしょう。
でも、忘れないで欲しい。
私は謝罪と感謝と、憎悪の気持ちを込めて死んだ。
1人の人間が君のせいで死んだ。
君にはその重責がいつまでも課せられる。
だから、自分で死ぬことは許さない。
絶対に、この世を生き抜いてください。
これは、ある少女の謝罪と感謝の手紙。
屋上に添えてあった靴と共に発見された。
誰が書いて、この「君」が誰なのかは分からない。
でも、間違いのないこと。それは、1人の人間が命を絶ったという事だ。
その後、男子生徒の飛び降りも発見された。
もしかしたら、「君」はこの男子生徒なのかもしれない。
だが、真実はもう分からない。
だってその少女はもうこの世にいないだろうから。
警察は、現在も捜査を続けている――。
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