第6話
そんな、決意をした夜。
私は私の世界へと飛び込んでいた。
やっぱり、私の世界は楽しい。
だって、長年過ごしてきた、何事にも替えがたい世界だから。
何よりも大切で、守りたいもの。
私にとって、あそこの世界での「私」は、やっぱり偽物だ。
あそこで気にいられている「私」は私の殻にすぎない。
中は空っぽ。
だから、傷つくことがない。
嫌われたって、それは「偽物の私」。
私が嫌われる訳じゃないんだもん。
――やっぱり、私の宝物はこの世界だ。
あの世界も、大切。
だけれど、煌めいてるのは、ここだ。
私が、「私」を作らなくても認められる。
嫌われない。
楽しい。
帰りたくなくなる。
――でも。
明日になったらこの世界のみんなはそれぞれ自分の世界に帰ってしまう。
そうしたら、私も戻るしかなくなる。
あの、地獄の世界へ。
「頑張らなきゃ。」
そんな薄っぺらい言葉で自分を励ます。
明日の日常が、平穏なことを願って。
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