プライムフライヤーの戦い
【前回までのあらすじ】
ケン刑事を助け出すことに成功した十勝名人は彼から黄金の将棋盤がプライムガードと裏で繋がっているロボット開発企業【ギガントテック】にあることを聞く。
ギガントテックに潜入した十勝名人のそこで数々のロボットやアーマー兵と戦い勝利するが、肝心の黄金の将棋盤はプライムガードの空中戦艦【プライムフライヤー】によって運び出されてしまった。ヘリコプターでやってきたケン刑事と共に十勝名人はプライムフライヤーを追いかける……。
◆
ケン刑事が操縦するヘリコプターに乗った十勝名人へガラス越しに外の景色を見る。
「天候が悪くなってきたね……」
十勝名人が言う通り、ヘリコプターの周りほ暗雲が立ち込めていた。
「そうですね、これだとあの空中戦艦を探すのも容易ではないでしょう」
「いや、そうでもないみたいだ……あれを見てくれケン刑事!!」
「むっ!?プライムフライヤー発見!!」
十勝名人たちの前に現れたのはプライムフライヤーであった。プライムフライヤーはヘリコプターに向かって主砲を向ける。
「なにっ!?」
「まずいですね、捕まってください!!」
プライムフライヤーは主砲を発射する。ケン刑事はヘリコプターの操縦桿を面舵いっぱい操縦することによりなんとかそれをかわす。
「なんとか避けることができましたね……しかしこれではあれに近づくこともできません……」
「くっ……黄金の将棋盤はすぐ近くにあるのに!!」
「ええ、ですから私に作戦があります」
ケン刑事はそう言いながらあるものを取り出した。
「これは……ジェットパック!!」
「十勝名人、あなたがこのジェットパックを使ってプライムフライヤーに降りてください」
「……うまくいくのか?」
「あの空中戦艦に装備されている兵器は小さな目標を狙って撃てる様にはできていません……少なくともヘリコプターよりは近づくことはできるかと」
「……わかった、やってみよう」
十勝名人はジェットパックを背負いヘリコプターから降り立った。
「それではご武運を十勝名人!!私は近くで待機しています!!」
「ああ!!君も無事でな!!ケン刑事!!」
ヘリコプターを見送りながら十勝名人はプライムフライヤーに近づいていく、プライムフライヤーに搭載された砲台群は十勝名人を狙うもしかし砲撃を当てることができない。
「なるほど、ケン刑事が言ってたことは本当らしい、さて降りるぞ!!」
十勝名人はプライムフライヤーの上部に降り立つ、そこには1人の男が十勝名人を待ち構えていた。
「ザザムィー!!プライムフライヤーに乗り込む不届きものが!!この俺がこの場で倒してくれるわ!!」
「何者だ!!」
「俺の名はレーザービーム!!十勝名人よ!!この俺自慢のレーザーで貴様を消し炭にしてやる!!」
プライムフライヤーの戦いが切って落とされた。
「来い!!ドローンよ!!」
純白のアーマーを着た男、レーザービームが叫ぶとどこかからドローンが飛んできた。
「ザザーッ!!このドローンは貴様を殺すまで追いかけ続けレーザーを浴びせる!!貴様の冒険はここで終わりだ!!十勝名人!!」
レーザービームのドローンが十勝名人に照準を合わせる。
「くっ!!このジェットパック、まだ使えるか!?」
十勝名人が背中に背負っていたジェットパックを操作すると高速で上に移動する。ドローンはそれを追いかける様に飛行する。
「無駄だ!!私のドローンはどこまでも貴様のことを追いかけるぞ!!」
「くっ!!」
それはレーザービームの言う通りであった。ドローンは十勝名人を正確に追いかけ、ついにレーザーを発射した。
「うおっ!!」
十勝名人は空中で身体を捻りなんとかそれを避ける。しかし無理な態勢で避けたのがたたり、プライムフライヤーに落ちてしまった。
「ザザニィ、ドローンよ!!もう一度十勝名人にレーザーを放つのだ!!」
ドローンは十勝名人を再度ロックオンする。
(くっ!!今の状態でレーザーを撃たれたら避け切ることができない!!なんとかする事はできないか!?)
十勝名人は王将刀を見る。
(一か八かだが……これしかない!!)
「ザザニィー!!死ぬのだ!!十勝名人!!」
ついに第二のレーザーが発射された。十勝名人は王将刀を射抜き、レーザーに王将刀を当てる。するとどうであろうか、レーザーが跳ね返されそのままドローンを破壊したのだ。
「なっ……なにぃぃぃぃー!?」
「レーザーは言わば光、光なら日本刀である王将刀で跳ね返すことができると言うわけさ」
「くっ!!だがまだだ!!レーザーが出るのはドローンからだけではない!!俺が来ているアーマーにもレーザー発射装置がある!!」
「無駄だ!!どんなレーザーが来ようとこの王将刀で跳ね返す!!」
「そんな芸当は何回も出来ねえええええ!!死ねっ!!十勝名人!!」
レーザービームは右手からレーザーを発射する。十勝名人は冷静に王将刀を構えるとレーザーを跳ね返す。そしてそれはプライムフライヤーに当たり爆発を起こした。
「ザザニィー!!ぎゃああああああああっ!!」
「うわっ!!」
爆発の衝撃でレーザービームはプライムフライヤーから落下、十勝名人はプライムフライヤーに王将刀を突き立てることによりなんとか落ちずに済んだ。
「……とんでもないことになったな、だがお陰でプライムフライヤーの中に入ることができるぞ」
そう、先ほどの爆発により、プライムフライヤーに穴が開いたのだ。
「さて、この中に入ったら何が出てくるか……だが黄金の将棋盤のためだ、躊躇している暇はない」
十勝名人はそう言いながらプライムフライヤーの中に入っていった。
「ここが戦艦の内部か!?」
「「「「ガガーッ!!」」」」
プライムフライヤーの内部に入った十勝名人を待ち構えていたのは大量の戦闘用ロボット、プライムソルジャーたちであった。
「くっ……流石に多いな、逃げるぞ!!」
十勝名人は進行方向にいるプライムソルジャーだけを切り伏せ進路を確保していく、しかしプライムソルジャーたちは構わず十勝名人を追いかけてくる。
「「「「ガガーッ!!」」」」
「むっ!!これはっ!!」
プライムソルジャーたちは十勝名人たちを追いかけるのに夢中になるあまり一直線に並んでしまっていた。そしてそのチャンスを逃さない十勝名人ではない。
「今だ!!十勝流奥義!!真空香車斬!!」
「「「「ガガビーッ!?」」」」
十勝名人は王将刀から真空波を出し、プライムソルジャーたちを一刀両断した。
「ふう……なんとかなったな、だがここはどこだ?」
十勝名人が周囲を見渡すと、そこはだだっ広い空間になっていた。
「広いな……いかにも何かが出てきそうだ……」
「その通りだ十勝名人!!」
「むっ!?何者だ!!」
十勝名人の前に現れたのは鋼鉄の様に硬い筋肉を持った大男であった。
「俺の名はゴーレムシュート!!どうやらレーザービームの奴はしくじった様だな!!」
「ああ、奴は今頃お星様にでもなってるはずさ」
「ククッ!!だが俺は奴の様にはいかんぞ……喰らえ!!」
ゴーレムシュートが手を高速で振るとそこから真空波が発生、十勝名人も王将刀から真空波をだして打ち消した。
「なにっ!!素手で真空波を出すだとっ!?」
「ククッ!!俺の鍛えられた筋肉ならそのぐらい可能!!しかもそれだけではないぞ!!」
ニヤリと笑ったゴーレムシュートが高速で動くと三体に分身した。
「なにっ!?」
「どうだ!!あまりにも早すぎて分身した様に見えるだろう!!行くぞ!!」
分身したゴーレムシュートは再度手から真空波を出す、あまりにも早すぎて十勝名人の手には負えない。
「がはっ!!」
真空波を受け倒れる十勝名人。
「ククッ!!トドメだ十勝名人!!」
十勝名人にトドメを刺そうと飛び上がるゴーレムシュート、しかし。
「今だ!!真空香車斬!!」
「えっ……ガハッ!!」
十勝名人の奥義を受け吹き飛ばされるゴーレムシュート。
「なっ……その様な余力が残っていたとは……」
「人というのは勝ち誇った時にもっとも動きが単純になる、そうなれば自慢の速さも意味がないというわけだ」
「クッ……クソッ……」
「さて、あんたには聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいことだと?」
「ああ、黄金の将棋盤はこの戦艦のどこにあるんだ?」
「クッ!!私が言うと思うか!?プライムガードを裏切ることなどできない!!」
「そうか……じゃあ少し寝ててもらうよ」
「なっ……ガハッ!!」
十勝名人の峰打ちを受けゴーレムシュートは気絶、十勝名人は前に進んだ。
◆
黄金の将棋盤を求めてプライムフライヤーの中を進む十勝名人、それをモニター越しに見る二人の男がいた。
「スカル提督様、これを緊急事態ですよ!早く何とかしなければ!!」
「案ずるなギガントキングよ、十勝名人がこの艦長室に足を踏み入れることはない」
二人の男……スカル提督とギガントキングは対照的なリアクションをとっていた、十勝名人の激闘を見て慌てふためくギガントキング、しかしスカル提督は冷静であった。
「このプライムフライヤーの中にはあやつを屠るための刺客が何人もいる、見るのじゃギガントキングよ」
スカル提督はモニターを指差す、そこには艦橋が映っていた。
「ギガントキングよ、十勝名人の墓標はここになる!ここには奴がいるのじゃからな」
「そうだといいのですが……」
二人は再度モニターに目を映すのであった。
◆
「ここは艦橋か!」
十勝名人は艦橋に辿り着いていた、そこを渡ろうとする十勝名人であったが、しかしあるものに気がついた。
「なっ!これは!空中機雷!!」
十勝名人が見たものは艦橋内に大量に浮いている空中機雷であった。これではまともに艦橋を進むことができない。
「この機雷……まさか……」
「そのまさかなのだよ!十勝名人!!」
「なっ……!!」
十勝名人の前に現れたのはかつて小樽で戦ったプライムガードの戦闘員、ボマー大佐であった。
「久しぶりだな十勝名人!あの時の決着をつけたくてね!」
ボマー大佐がそう言うと十勝名人に向けて手榴弾が投げ込まれる。十勝名人は上の艦橋にジャンプし何とか回避。
「くっ……」
「何とか避けた様ですが、ここには私が用意した空中機雷がいっぱいだ!そう何度も攻撃を避けることはできない!!」
確かにボマー大佐の言う通りだった。ここには大量の空中機雷があり、十勝名人は持ち味である俊敏さを充分に発揮することができない。
「ククッ……ではそろそろ死んでいただきましょう!!」
ボマー大佐は再度十勝名人に手榴弾を投げつける。十勝名人は避けようとするが周りに機雷があって避けることができない。
「くっ!!一か八かだ!!」
十勝名人はボマー大佐が投げ込んだ手榴弾を掴む。
「なにっ!!」
「ふう……何とかなったな、それじゃあお返しだ!!」
十勝名人は掴んだ手榴弾をボマー大佐に向けて投げ返す。
「ぬおおおおお!!」
ボマー大佐はそれを投げナイフで空中で爆破させる。
「十勝名人、やはりやるな!!」
「あんたに褒められても嬉しくないけどね」
「へらず口を!!」
二人は戦闘体制を取る、戦いは始まったばかりだ。
戦闘態勢を取る十勝名人とボマー大佐、まず最初に動いたのはボマー大佐の方だ。
「私の必殺技を喰らうがいい!!名付けてエキセントリックボム!!」
ボマー大佐は十勝名人に向け四方八方から大量の手榴弾を投げつける。
「どうだ?これを全て捌き切ることは出来まい?」
「くっ!!」
危うし十勝名人、果たしてこの大量の手榴弾を彼は捌き切ることができるのか?
「確かにこれ全部に対処するのは無理だ、だが全てを裁く必要性はない!!」
「なにっ!?」
十勝名人は跳躍、上方向にも手榴弾はあるが進行方向にある物だけを対処、安全に爆破していく。
「なるほど、だがこれならどうだ!!」
ボマー大佐は空中にいる十勝名人に対して手榴弾を投げつける。
「どうだ!!空中では避けることも出来まい!!」
「くっ!!」
十勝名人は王将刀を構えると高速で飛来する手榴弾を真っ二つにする。
「なにっ!!なんてやつだ!!」
「それくらい予測済みだ!!」
「くっ!!」
「喰らえ!!十勝流奥義!!飛車跳躍!!」
「ムゥゥゥゥ!!」
十勝名人は空中からボマー大佐に切り掛かる、ボマー大佐はそれをジャンプして回避しようとする、しかし。
「なっ!!これは!!私が仕掛けた空中機雷!!ああああああああああ!!」
ボマー大佐は自ら仕掛けた空中機雷に接触、右腕が爆発する。
「ぐおおおおおおおおおおおお!!十勝名人んんんんんんんんん!!ああああああああああああ!!」
ボマー大佐はそのまま下へと落ちていった。
「ボマー大佐……強敵だった……」
十勝名人は艦橋を抜け出し先へと進んでいく、しばらく進むとそこにあったのは一体のロボットであった。
「なんだこのロボットは?龍の姿を象っているようだが……」
そのロボットは青いドラゴンの姿をしたロボットであった。特に目が特徴的で大きな一つ目をしている。
「どうやら起動していないようだが……むっ!!」
その時である、ドラゴン型のロボットが突如として動き出した。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
「むっ!!やる気か!!来い!!」
十勝名人の新たな戦いが始まろうとしていた。
◆
その頃、スカル提督とギガントキングは十勝名人とドラゴン型ロボットの姿をモニター越しに見ていた。
「どうですかスカル提督、私のギガントドラゴンアイは?」
「なかなか強そうじゃな、ワシの発明品には及ばないにしても」
「ハハハ……私のギガントドラゴンアイは過去の十勝名人の戦いのデータを蓄積しています、つまり十勝名人に対して無敵!!負ける理由がないわけです」
自信満々のギガントキングを見ながらもスカル提督はプライムフライヤーの進行方向を確認していた。
「後30分でテレビ塔に辿り着くか……ようやく黄金の将棋盤の力を見せつける時が来たわい」
果たして黄金の将棋盤の力とは!?
「グオオオオオオオオオオオ!!」
ギガントドラゴンアイが咆哮するとそれの右手に王将刀と全く同じデザインの刀が瞬間的に発生する。十勝名人は驚きを禁じ得なかった。
「なにっ!?王将刀がロボットの手に!!」
「ゴオオオオオオ!!」
ギガントドラゴンアイは王将刀を振りかぶると竜巻を発生させる。それは十勝名人が使っている技と全く同じものであった。
「こいつ僕と同じ攻撃を!!オッ!!」
「シャーー!!」
十勝名人は竜巻に直撃し壁に叩きつけられる。ギガントドラゴンアイはそこにさらに追撃を加えるが十勝名人は間一髪の回避。
「くっ!!僕と同じ技を使うということか!!」
「ゴオオオオオオ!!」
「ならば!!」
十勝名人は目を瞑り無防備な態勢をとった。するとギガントドラゴンアイも動かなくなってしまった。
「なるほどな……こちらが何もしなければあのロボットも何をしていいか分からなくなるというわけだ」
「………………」
「しかし……ここからどう行動すればいいものか……」
十勝名人は考える。そしてある名案が思い浮かんだ。
「ならば!!はあああああああああああああああ!!」
「ギャ……ガガガーーーッ!?」
なんということか、十勝名人は素手でギガントドラゴンアイを投げたのだ。このロボットには十勝名人が素手で戦うデータはない。十勝名人はそこをついたというわけだ。
「トドメだ!!」
「ギャギャーーーー!!ガッ!!」
空中に放り投げられ行動を取れなくなったギガントドラゴンアイに向かって十勝名人は王将斬で攻撃。ギガントドラゴンアイは大爆発した。
「ふう……なんとかなったな」
「キョキョキョー!!そのポンコツを倒したくらいでいい気にならないでもらいましょうか」
「なにっ!?誰だ!!」
爆発に紛れて現れたのはピエロのような姿をした男であった。
「私の名はザフォール!!十勝名人!!ここがあなたの墓場となるのです!!」
「なんだと!!」
「キョーーー!!」
ザフォールは十勝名人に向かって斬り揉み回転して鉤爪攻撃、十勝名人はそれをなんとか回避。
「キョキョキョ、流石にこれくらいは避けられますか」
「ふざけた奴だ、早く倒してやる」
「キョキョ、ふざけた奴とは言ってくれますね……いいでしょう!!私の本気を見せてあげますよ!!」
するとザフォールはクルクル回転しながら部屋の中を高速で暴れ回る、流石の十勝名人もこれは目で追えない。
「クッ!?」
「キョーッ!!死ねーッ!!十勝名人!!」
ザフォールは十勝名人の顔目掛けて鉤爪を突き立てる、しかし。
「なにっ!?」
「どんなに動きで翻弄しても攻撃を仕掛ける瞬間に隙ができる、僕はそれを狙っていたのだ!!」
「キョガーーーー!!」
「喰らえ!!十勝流奥義!!王将斬!!」
「キョキョーーーーーッ!?ガッ!!」
ザフォールは十勝名人の奥義を喰らい気絶、十勝名人は前に進んで行った。
プライムフライヤー内部を走り抜け、十勝名人はついに艦長室まで辿り着いていた。
「ここが艦長室かっ!?この中に黄金の将棋盤があるはず……」
十勝名人が中に入ろうとしたその時、3人の男たちが現れた。
「「「「待てい!!ここから先には行かせんぞ!!」」」
「誰だ!?」
3人の男たち信号機の様な頭をした奇妙な出立ちをしていた。
「私の名はレッド・シグナル!!」
「俺の名はイエロー・シグナル!!」
「僕の名はグリーン・シグナル!!」
「「「3人合わせてシグナルズ!!勝負だ!!十勝名人!!」」」
「ええい邪魔だ!!十勝流奥義!!王将斬!!」
「「「ぎゃああああああああああ!!」」」
シグナルズはそのまま艦長室の扉に吹っ飛ばされる。黄金の将棋盤を目の前にした十勝名人の前に彼らは敵ではなかったのだ。
「なっ……なんだ!?」
艦長室の中にいたのはギガントキングのみであった。
「ギガントキング!!さっきぶりだな!!」
「くっ!!スカル提督様が立ち去ったタイミングで!!」
「黄金の将棋盤はどこだ!?」
「クック……黄金の将棋盤は既に有効利用させてもらっている!!」
「有効利用だと!!どういうことだ!!」
「そこから先は私を倒してからにしてもらおう!!」
ギガントキングがそういうと彼の後ろから黄金のガントレットが射出された。
「うおっ!!危ない!!」
「開発中なもので、できれば使いたくはなかったが……最早しかたあるまい!!来い!!ギガントガントレット!!」
ギガントガントレットはギガントキングの右手に装着される。
「ふん!!行くぞ!!ギガンティックビーム!!」
ギガントガントレットからビームが射出される。十勝名人はそれをなんとか避ける。
「流石だな……だがこれはどうだ!!」
ギガントキングはギガントガントレットを射出。それはロケットパンチであった。
「うわっ!!ロケットパンチか!?」
「そうだ!!しかもただのロケットパンチではない!!」
ギガントガントレットほ方向を転換し十勝名人に襲いかかる。
「追尾するのか!?」
「そうだ!!これは避けられまい!!」
「いや……避ける必要は無いね!!」
「なんだと……」
十勝名人は王将刀をギガントガントレットの方に向けるとそのまま真っ二つに切ってしまった。
「なっ!?」
「この攻撃、追尾といいビームといい、この戦艦の外で戦ったレーザービームの物とまるで同じだ。対処は容易かった」
「クッ……」
「さて、ギガントキング?黄金の将棋盤はどこにある」
ギガントキングの口から放たれた言葉、それは衝撃の言葉だった。
「黄金の将棋盤はこの戦艦のエネルギー砲の動力として使用されている!!」
「動力だと!!どういうことだ!?」
十勝名人はギガントキングにつかみ掛かる。
「くっ……くくっ……貴様は黄金の将棋盤の真の価値を知らない……あれは巨大なエネルギー源だ……」
「なんだって!?」
「ああ……だから我らプライムガードがきちんと利用してやろうというのだ……我々は黄金の将棋盤の力を利用した【黄金砲】で札幌の街を破壊して……そこに新たな秩序を築き上げる……」
「なにっ!?そんなことをしたら札幌に住む人々がただでは済まないぞ!!」
「くくっ……がはっ!?」
ギガントキングは気絶した、十勝名人は慌てて部屋から出る。
「急がねばとんでもないことになるぞ!!」
十勝名人は走り、ついに動力室に辿り着いた、そこにはスカル提督がいた。
「来たようじゃな、十勝名人……」
「あんたがここのリーダーか!?」
「いかにも、ワシの名はスカル提督、どうやらギガントキングから話は聞いている様じゃの」
「今すぐ黄金の将棋盤を返せ!!あれはこんなことをするためにあるものじゃない!!」
「ふん、ならばあれはなんのためにあるんじゃろうな……」
「それは……」
「貴様は何も知らないのじゃ……何もな……」
「くっ……だが札幌の街が破壊される様をこのまま見ているわけにもいかない!!勝負だ!!」
十勝名人は王将刀を構える、しかしスカル提督は気にしてない様子だ。
「貴様の相手をしてもよいが……ワシよりも適任者がおるのでな……出番じゃ!!ウルトラカブキ!!」
スカル提督の一声とともに上からウルトラカブキが現れる。
「なっ……ウルトラカブキ!!」
「久しぶりだな……十勝名人」
「では後は頼むぞウルトラカブキ、ワシは黄金の将棋盤の制御をせねばならんからの」
「御意に」
「まて!!スカル提督!!」
十勝名人はスカル提督を追いかけようとする、しかしそこにウルトラカブキのカットが入る。
「ここから先にいきたくば……私を倒すことだな……」
ウルトラカブキは構えをとる、十勝名人も王将刀を手に構えを取った。
「ふん、以前戦った時よりも強くなったと見えるな」
「あの時から何度も修羅場を潜ったからね……では行くぞ!!ウルトラカブキ!!」
「ふん!!勝負だ!!十勝名人!!」
2人の勝負が始まった、まずは鍔迫り合いだ。
「むぅん!!やはり強くなったな!!十勝名人!!」
「あの時の雪辱……晴らさせてもらう!!」
十勝名人がウルトラカブキに切り掛かる、しかしウルトラカブキはそれを跳躍して回避する。
「ふん……だがまだまだ私には勝てないぞ!!」
ウルトラカブキは空中から十勝名人に切り掛かる。
「空中からか!?だが!!」
十勝名人は跳躍しウルトラカブキと相対する。
「ぬう!!来よったか!!」
「勝負だ!!ウルトラカブキ!!」
2人は空中で鍔迫り合いを始める、事態は拮抗していたが先に動いたのはウルトラカブキの方だ。
「甘いな十勝名人!!」
「なにっ!?王将刀の上に立っているだと!?」
ウルトラカブキは王将刀の上に立ち仁王立ちしていた。しかもそれだけではない。
「むぅん!!」
ウルトラカブキは王将刀をバネにして上方向へジャンプ、これでウルトラカブキは十勝名人に有利を取った。
「フン!!喰らうがいい!!十勝名人!!」
ウルトラカブキは刀から真空波を出す、十勝名人は避け切ることができずそれを受けてしまう。
「ガハッ!!」
「フン……他愛もない」
ウルトラカブキは十勝名人に近づきトドメを刺そうとする。しかしその時、王将刀が黄金色に光輝いた。
「なにっ……これは……」
「なんだこれは……王将刀が黄金の将棋盤に反応している?」
王将刀の輝き、それは黄金の将棋盤と同じ種類の輝きであった。
「むう!!王将刀が黄金の将棋盤と共鳴したか!!十勝名人!!本気で行かせてもらうぞ!!」
ウルトラカブキは刀を手に構えを取る。そして刀を回転させ始めた。
「どうだ!!これでは攻撃することができまい!!」
刀の動きは実際に超高速でここに攻撃を仕掛けてもウルトラカブキを傷つけることができないどころかむしろ十勝名人側がダメージを受けてしまうだろう。
「なるほど、確かにこれは手強そうだ……しかし!!」
十勝名人は目を瞑り精神力を高める。そして王将刀の輝きが最大限に高まったその時、十勝名人は行動に出た。
「行くぞ!!十勝流奥義!!黄金王将斬!!」
十勝名人が王将刀を高く掲げる。そしてそれを大きく振りかぶりウルトラカブキに奥義を仕掛ける。
「むう!!これしきの攻撃……ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ウルトラカブキは黄金の奔流に巻き込まれ壁に叩きつけられた。
「うぐっ……」
「ウルトラカブキ……この勝負、僕の勝ちだな」
「この力……やはりあの男の息子なだけのことはある……」
「なにっ!!今なんと言った!!」
十勝名人がウルトラカブキに問い詰めようとしたその時である。突如として大きな爆発音が鳴り響いた。
「なんだ!!」
「なんじゃこれは……黄金の将棋盤が暴走しておる!!」
黄金の将棋盤を前にしたスカル提督は狼狽えていた。何故なら黄金の将棋盤が今にも爆発しそうだからであった。
「なっ!?黄金の将棋盤が!!」
「むう!!力が高まりすぎたか!!」
果たして、黄金の将棋盤は、そして十勝名人たちは一体どうなってしまうのか……。
「くぅ……!!惜しいところだが仕方がない!!この戦艦は放棄する!!ウルトラカブキよ!!ワシと一緒に脱出するのじゃ!!」
「むう……御意……!!」
スカル提督とウルトラカブキは十勝名人を置いて脱出しようとする。
「待て!!」
「待てと言われて待つ奴はいないのじゃ!!十勝名人よ!!命が惜しければ貴様もとっとと脱出するが良かろう!!ではさらばじゃ!!」
「待て!!まだ話は!!」
十勝名人は2人を止めようとするがしかし、ウルトラカブキの衝撃波に逆に止められてしまう。
「ふん!!生きていればまた会うこともあるだろう……ではさらばだ!」
「くっ……いや、あの2人を追っている時間はない……早く黄金の将棋盤を止めなければ……」
そう、黄金の将棋盤は現在も暴走している状態にあった。早くしなければどうなるかわからない。
「こうなったら……一か八かだ!!」
十勝名人は黄金の将棋盤に王将刀を突き立てる。すると黄金の将棋盤の動きが先程までの暴走が嘘であるかのように止まった。そして。
「なにっ!!黄金の将棋盤が……王将刀に入り込んでいく!!」
なんということであろうか、黄金の将棋盤が液状化し王将刀と融合していくではないか。
「これは……王将刀が黄金色に光り輝いている!!」
そしてそこには光り輝く黄金の王将刀があった。
「すごいことになったぞ……だがこれでとりあえずは暴走が止まったわけだが……はやくこの戦艦から脱出しなければ」
そういいながら窓の方を見た次の瞬間、ヘリコプターが現れた。
「十勝名人!!早く脱出を!!」
「ケン刑事!!来てくれたのか!!」
ヘリコプターに乗っていたのは札幌国際警察のケン刑事であった。
「うおおおおおおおお!!」
十勝名人は窓を割りヘリコプターに飛び乗る。
「危なかったですね十勝名人、ところで黄金の将棋盤は取り戻せましたか?」
「ああ……といってもこの王将刀と融合してしまったけどね」
「……あの戦艦の中で何があったんですか?」
「それを話すと長くなるが……むっ!?」
十勝名人がふとヘリの外を見るとそこには爆発炎上し海に堕ちるプライムフライヤーの姿があったのだった。
「ふう、あれがもし街に落ちていたらと思うと……ゾッとしますね」
「ああ……」
「ところで十勝名人、あなたは黄金の将棋盤を取り戻したわけですけれど、これからどうするんですか?」
ケン刑事の質問を受けた十勝名人は一息つき、答える。
「奴は……ウルトラカブキは行方不明になった僕の父さんのこおを知っているようだった」
「お父さんの……ですか?」
「ああ、それにプライムガードは壊滅したわけじゃないし、僕には彼らと戦う力がある……これからも一緒に戦おう、ケン刑事」
「その言葉を聞けて嬉しいですよ、十勝名人」
ふと2人が空を見ると、そこには朝日が光り輝いていた。それは2人のことを祝福しているようだった。
〜十勝名人の冒険 黄金の将棋盤編 完〜
十勝名人の冒険 新理ツク @alaric
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。十勝名人の冒険の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます