第1話
雨が降っている。
雨の匂い、汚れている、普通の人なら絶対に通らないであろう路地裏の、
表通りからは見えないような奥のほう。
僕、賀勢音緒は、此処で人間を拾った。
汚い服。数々の傷。放っておけなかった。
一人暮らしには少し広く、寂しい家に住んでいたから、
まぁいいや、と軽率な判断をしてしまった。
そいつは、
「私、
と言った。
「僕は
僕よりも弱そうな奴で、身長は高いが可愛らしかったので、
年下とばかり思っていたが、ひとつ年上だったとは。誤算。
「タメで喋ってもらって構わないから。」
こんな流れで自由と同居することになったわけなんだが、
一緒に生活していて気づいたんだ。
こいつ、情報網がとんでもない。幅が広すぎる。僕の活動域に関しては特に。
「お前、僕と組んでくれないか。」
僕は既に組んでる相手はいたけれど、もう今日で解散しよう。
相方だった奴にもういい、と連絡を入れる。
了解です。ありがとうございました。
とだけ返ってきた。おもしろくない。
「私の方の相方も解散希望を出してきたのでいいですよ。」
都合が良すぎる。同居して相方とか最強の関係だな。
Win-Winであるという幸せをいっぱいに噛み締めた。
そんな僕が狂い始めてしまったのは、この日からだったかもしれない。
ひとつ、屋根の下で とあるお嬢様専属のシェフ(鯖) @pinya0216guy
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