心の繋がり
ボクは、その日から毎日早起きをするようになった。
そして一緒に家事をするのだ。
二人で分担するので、綾は以前よりも早起きしなくて済むようになった。
まぁ、その分…夜二人でイチャイチャしたりして寝るのが遅れたりしますが♡
そして休日の前の日、以前はお互いそれぞれ別の動画みたり、読書したり、綾は家事なんかをしていたが、今は一緒に片付けしたり明日の日程を決めたり、以前よりもかなり充実している。
綾の負のオーラも感じない。
なんならイキイキとしている気がする。
家事も予定も全て完了して、そろそろ寝ようかってなった。
まぁ、寝ないで二人して明日はあれが楽しみとか、映画がどんな結末になるか予想したりして時を過ごしているのですが。
あぁ、綾がボクの隣で笑っている。
もう、この笑顔を見ることができないと思っていたあの日がウソみたいだ。
夜もそして朝も、なんでもないくだらないことで笑いあってとても幸せだ。
綾も最近は、負のオーラも感じないくらい元気だから、朝から仲良く家事を分担して、予定よりも早く映画館に出発することができた。
「少し時間があるからあのお店みたいな」
と綾が指差す方をみると、かわいい雑貨屋さんがあった。
「うん、そうしよう」
と雑貨屋さんに行き、二人であれがかわいいとか、家のあの棚にこれはどうか?なんて意見交換をしていたら、一人の男性が綾に近づいてきた。
「綾さ〜ん」
と。
綾は、その声に振り向いた。
彼はおそらく…雨の日に以前綾と一緒にいた男性だ。
「あ、町田くん。偶然だね」
「はい、ところでそちらの男性って?」
あまりよくない視線をボクに向けた。
「彼氏なの、これから映画に一緒にね」
と綾がボクに視線を送った。
「どうもはじめまして。三野川健二と申します。」
と、挨拶をして彼の方をみた。
で…
挨拶後、微妙な間があいた。
…
「あー、どうもー。会社の後輩でーす」
と、その男性は一瞬ボクとバッチリ目が合うと、そっけない挨拶を返してきた。
なんともわかりやすい態度…
おそらく彼は、綾に好意を持っている。
綾は…どうだろう。
以前綾と彼は、確実にいい感じにおもえたが…今はボクの逆転勝ちとでも言おうか。
まぁ勝ち負けという表現は…どうなのかわからないけど、でも今は堂々と彼氏です‼︎と名乗れる。
綾が
「それじゃあね」
と彼に言葉をかけると後輩くんは、
「映画、楽しんでくださいね。綾さん、それじゃ、また会社で」
と手をフリ一瞬チラッと冷たい視線でボクをみて、その場を立ち去っていった。
…
ボクは、映画館に入ると予告をボーっとみながら少し考えた。
勝ち負け…
恋は勝ち負けなのだろうか?
そもそも勝つってどういうことだろう…
付き合うってこと?
…いや、違う。
ボクは、ついこの間まで綾と同棲していたにもかかわらず、綾の心が離れていることを強く感じた。
だから、そばにいるからって…付き合ってるからって勝ちなわけでもないのだ。
ボクは、あの彼に勝ったわけでわない。
でも、前よりもボクは綾に笑顔の栄養をおくってあげられているような気はしている。
なんとなく険しい道が、ゆるやかになったんじゃないかなと思う。
映画中、綾が泣いていたらそっと手を握り、綾が笑うとボクも笑った。
自分が幸せじゃなきゃ、誰かを幸せにすることは、難しいと聞いたことがある。
ボクは、ボクの幸せは…綾の笑顔だ。
だから、綾が幸せならボクも幸せだ。
映画が終わりカフェで意見交換をして、また好きなシーンをお互い思い出す。
懐かしいな。
綾とサークル以来の映画鑑賞会。
こうしてボクたちは、今後も定期的に映画館に足を運ぼうね!と約束した。
その日の帰りに、仲良く買い出しして肩を並べて料理をした。
分担したり協力したり、お互い支え合って生活すると、なんか綾の分身がボクの心に住んでいるような、温かいきもちになった。
もしかしたら、また険しい道に二人で迷い込んでしまうかもしれない。
そして以前のようにボクじゃないだれかが綾に手を差し伸べてくる可能性もありうる。
あの、彼のように…
しかし、ボクは負けないくらい綾を全力で守りきるつもりでいる。
綾と二人で乗り越えて絶対に手を離さないようにしようと、強く決心したのでありました。
おしまい。
彼女を険しい道へ連れ出したら別の男性が彼女を助けに来たようです… 猫の集会 @2066-
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