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何度目かのプログラム説明会が今日あった。今までの中で最も具体的なイメージが持てるような会であった。研究室に在籍してる学部4年生や修士の学生から研究室の雰囲気を実際聞けたのだ。本命のプログラムに進めるか怪しい僕ではあるが、正直応用生命科学以外に選択肢は考えられず他のプログラムの展示は流し見に等しかったと思う。やはり応用生命科学は就活の幅も広く可能性しか感じない分野であると確信に至った。そんな希望を内に感じると同時に、現実との正対を迫られる。いつまでも自分を空気のような存在とおいて考えるのでは無理な状況になってしまった。学部内順位が下位20%の現状に、相変わらず不真面目な態度で授業を消費する学生生活。私はクソ怠惰な学生なのである。だがしかし、理想は高い。一生私はこの理想と現状のギャップに悩み、それを埋めていく力、特に計画性と実行し続ける根性がないことを恨みつつ、薄れ忘れて許容している自分に気付きまた醜く吠え回るのだろう。
自分の不能を自覚しているので、間違っても自分は完璧主義者を名乗れないと思いながら生きてきた。その一方で、自分が求めたルートを外れた今生に対して砂一粒程度の関心も持てずもはや悟った風を装っているのである。僕は東大生になりたかった。秋高生になりたかった。阪大生になりたかった。農工大生になりたかった。絵音の後輩になりたかった。仙台二高に通ってみたかった。函館ラサールを受験してみたかった。小6でミニバスを退部せずに踏ん張ってみたかった。ミニバスの件に関して言えば、体育館に入るだけで泣き始めるくらいに追い詰められた結果であり変えようが無かった選択かもしれない。そもそもそうならざるを得なかった軟弱な僕がいけないと思う。弱者である自分を変えるための成功体験を積めないまま今も生きている。周りから見たら死ぬほどしょうもないことに拘泥している惨めなコドモな大人でしかないんだろう。しかし、やはりちょっとしたことで劣等感が掘り返される現在の自分のステータスは、言わば悪性腫瘍を取り除いていない患者の身体である。僕はこんなところのプログラム分属ですら負けそうになっているオシマイさんではあるが、こんなところに所属していることが人生へのモチベを削ぐのである。苦しい。この県の東大ではあるものの、隣の県に行けば大して評価されないところに通っている一学生である。苦しい。何と言っても同級生のように受け入れて進まない自分がいるのが苦しい。惨めったらしい自分を見続けるのが苦しい。自己愛の強さ故の苦悩である。だから、人から見たらどうでも良いのだ。自身で自分が愛せる人間になれるかが懸かっている、他人からしたら下らない問題なのだ。だから、相談も意味を成さない。19歳になった今、他人の言葉に価値観を歪められるような衝撃も恐らく無いだろう。だから、僕がすべきことは一つしかないとは分かっている。
無題 椿生宗大 @sotaAKITA1014
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