最大多数の最大幸福は僕をモテさせない
先日、友達に言われました。
「ちゃんと女の子を特別扱いしてあげて」
彼はまたしても「男っぽい」と悪い評価を受けたのでした。
最近の(自己)研究によると、哺乳類霊長目ヒト科のある個体において、その他の個体から求愛されない事象の原因を探ったところ、その個体は特定の他者を特別扱いできないことがわかりました。
その個体は知らない人が集まるカジュアルバーに、友人3名と向かいました。男女2名ずつ、一人は初めて会う異性のようです。
そこでこの個体の特殊な部分が垣間見えたのです。なんとその個体は初めて会った異性をほっぽり出して、バーに初めて来たという同性の年長者とコミュニケーションを取っているではありませんか。そして、ヒトが集まって来て盛り上がったときにはすでに友人3名の隣に席はなく、その個体は様々なヒトの間を行き来し、会話をしています。
後日、その個体に話を聞いてみると、奇妙な証言を得ました。
「初めての場所に一人で初めて来た時って不安じゃないですか。だから、すでに色んな人に話しかけられている隣の女性より、一人で来ているおじさんと話して、盛り上がったほうが最大多数の最大幸福を達成できると思ったんです」
この個体は大きな勘違いをしているようです。
求愛行動と幸福の関係性が分かっていません。
確かにその場が盛り上がることは各個人の幸福度をパレート最適に近づけるかもしれません。
しかし、その個体が異性に好かれるかは全体の幸福とは関係ないのです。かのオスが誰かを特別扱いすることで発生する他者の不安や疎外感は、当事者にとっては関係のないことであり、むしろ、特別扱いしないことで被る違和感や恋慕の阻害につながっていることに気付いていません。
つまり、かの個体は他人の状況を考えすぎるあまり、友人と自分の関係に目を向けていないのです。
彼は言います。
「好きな人にはモテないが、ちょっと離れた友人にはありがたいことに好意的に映るらしい」
これはそういうところから来たものなのでしょう。
それを好きな人に向ければいいのに、といったところまた奇妙な答えが返ってきました。
「好きな人を特別扱いするのってズルい気がする。自分を良く見せているというか、本来の自分ではない部分を小出しにして、勘違いさせているだけではないのか、という疑惑が払えない。それって不平等で強欲で独善的で閉鎖的な感情に思えてしまう」
この個体の研究は何が出てくるか分からなくて面白いですね。
特異的な感覚をもっているところがこの個体が恋愛感情を抱かれない原因なのでしょう。今日はある場面から得た理屈っぽい男らしい感覚はモテないことを発見しました。まだまだ未知なる領域も残っていますので、今後も研究を進めていきたいと思います。
限界30代、寝ぼけ眼で「なにものでもない自分」を探す Askew(あすきゅー) @Askew
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