少年少女探偵

@omisosiru69

プロローグ

錦糸町の裏通りの二郎系と風俗と雀荘が入ってる欲望を詰め込んだ様なビル「平和ビル第二」の

最上階に俺の事務所「錦糸町探偵事務所」はある。


事務所を開いたのは小2の夏休み。グレーな金貸しをやっている婆ちゃんのオフィスにダンボールで作った机を置いて俺たちは「少年少女探偵団」を名乗り始めた。


メンバーは俺が2回で辞めたカラテ道場の娘リエ、初日に辞めたサッカー教室で出会ったケンちゃん、クラスで一番最初に性に目覚めた男もっさん、そしてとにかく実家が太いスミレさん。


リエの親父さんには軟弱者と呼ばれていたし、スミレさんのお母さんにはしっかり嫌われていたけど小学2年生の俺には関係ないのだ。子供なので。


毎月の場所代を催促する婆ちゃんには駄菓子で常温で販売されているタイプのコーラゼリーを2本渡して賃料とする取り決めだった。

2本のうち1本は俺が貰い、窓から向かいのラブホの入り口を覗き込みながら食った。

普通にコーラ飲んだ方が美味えのになあと思いながらその取り決めは何年も続いた。


そんな婆ちゃんも2年前にあっけなく亡くなり、俺は高校3年になった。


「婆ちゃん今月分。」

キャビネットに置かれた婆ちゃんの写真に手を合わせながら、ぬるいコーラゼリーを咥える。

今日もラブホから出てくるカップルを眺めながらチューチューと吸い尽くす。


スプリングがバカになったソファーに横たわり、下の階の雀荘のwifiにスマホを繋ぎ、二郎系から流れでくるウンザリする様なニンニクの匂いをかぎながら目を閉じる。


俺の名前は白井耕助、探偵でありんす。

決め台詞はまだない。

それは追って決めていくとして、少年を名乗っても良いギリギリの1年に起こった少年少女探偵団の最悪の事件をここに記録していこうと思う。

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