悲報 主の頭がおかしくなった件

五平太

プロローグ 主壊れる


私の名前はカブちゃん 偉大なる主【ステーキ】様のただ1人の(重要)眷属だ


私は主様を敬愛している、誰よりも優れた美貌と知性を誇り魔術においては右に出る者は居ない程のお方だ


だかそんな主は突然おかしくなった


【ファ!?じーえむこーる聞かないやん!?どうしてくれんのこれ?】だとか【ヤベェヨ…ヤベェヨ…】とか

【え…?ろぐあうと出来ない…某小説じゃないんだから…】とか意味の分からない言葉を呟き始めた


私の至らぬ脳では理解出来ない…主をこの様に表してしまうのはとてつもなく失礼極まりないだろうがあえて言わせて貰おう


         

         主壊れた



◆◆◆


「きょーもゲームやるーぞー」


夜中の繁華街を軽快にスッテプしながら帰宅する女性がいた


彼女の名前は鈴木由紀子(30歳)ヲタク魂燃え上がる立派な戦士である


「フエへへ…今日は…龍の雫集めなきゃ(使命感)」


そんなくだらない使命感に駆られている彼女は【WORLD OF HORIZON】と呼ばれるゲームのプレイヤーだ【WORLD OF HORIZON】とは所謂MMORPGの一種で高い自由性と多くの人が交流出来る点で社会現象を巻き起こしたゲームである

彼女はゲーム内では【ステーキ】と名乗っている素敵と好物のステーキを掛けているのは秘密だ


そんな彼女を悲劇が襲う何時もの様に日課をこなしてゲームをログアウトしようとしてもログアウト出来ないのだ


「え…?ログアウト出来ないんだけどwww」


最初はふざけながら色々試しているとゲーン内のチャットや掲示板は起動するがログアウトや運営への連絡が出来ないようになっていた


「え…マヂ?明日早いんだけど…(絶望)」


明日早いならやるなと言いたい所だか彼女は生粋のゲーマー毎日ゲームをしないと死んでしまうマグロの一種なのだ


取り敢えず掲示板を確認すると他にも閉じ込められた人々が発狂しているのが確認出来た、数少ないフレンドからも連絡が来て返信に勤しんでいるとふと彼女に声が掛けられた


「主、顔色が優れない様ですが…」


「しゃ…シャベッッタッアアアアア!!!!」


何処ぞのファーストフード店の広告の様に叫び声を上げてしまう


「え…え…?なんでNPCが…?」


困惑した声でブツブツ独り言をぼやいていると


「主、そのえぬぴーしー?とはなんですか?」


また返事をされ失神しかけるが今度こそ眷属のカブちゃんに返事をする


「……え?カブちゃんガチで喋ってんの?」


「何を仰っているのですか…?」


「たまげたなぁ…」


過労と情報過多のせいで彼女の意識は途切れた


◆◆◆


やっぱり主は可笑しい突然空中を撫で始めたり…いや…あれは高度な魔術を使用していたに違いない…

他にはえぬぴーしーと謎の言葉を使っていた…いやあれは古代魔術の言葉だろう、他にも私が話している事に驚いて気絶してしまった…そんな可笑しい事だろうか…?


取り敢えず主を寝室に運んだが大丈夫だろうか…私は回復魔法をてんで駄目だ、主にも苦笑いされた程…そうだ漢方と粥を作ろう、触ってみた感じに熱がある様だ下熱剤を作ろう錬金術と言った技術は主に教えて貰ったから下熱剤程度は作れるだろう(慢心)料理に関しては自信がある伊達に主の料理を作っている訳では無い(慢心)粥ぐらい余裕余裕()


「たまげたなぁ…」


粥は作れただか下熱剤が一向に作れん、やっぱ町に行って買ってきた方が良かったか…?なんて邪道な考えが脳裏を過るが直ぐ様その考えを捨てる

主様はとてもグルメだ…町の下賎な薬等用意してみろ万死に値する…


「ふむふむ…草切り蜥蜴の尻尾2つと…厚顔石を磨り潰したモノを小さじ1杯と…奉天草を磨り潰したモノを……」


施行錯誤の末なんとか…なんとか…完成したぞ…私は…ついに!薬学を制した!(慢心)主!今届けに…


彼は喜びの余り完成した下熱剤を天に掲げるが漢方タイプだったせいで薬紙からサラサラ…と零れ落ちた()


「あ、あぁ…」


哀しみの余り膝をつき涙を流す…


「え…なんで調合室に…」


少し掠れた聞き慣れた声が背後からすると思い振り向くと主が立っていた


◆◆◆


ん…?此処何処だ…?なんか知らん豪華なベットの上に居るんだけど…てかちょっと吐きそう…うわ…熱あるじゃん…アゼルバイジャン…おっ鑑あんじゃーん……

なんだこの美少女!?銀髪赤眼美少女やんけ!!!胸装甲は…少し…か…無いよりは…ってかこれオレのアバターじゃね…?(今更)


「夢じゃない…」


頬引っ張って見たけど冷めへんわ…どないしよ(エセ関西人)ん…?何かどっかからゴリゴリ音が…?

少し怠いけど行くか…


彼女は立ち上がり覚束無い足取りで部屋を出る


「うわっ…でっか…鏡の間より広くね…?」


昔訪れた場所を思い出しなからゲーム内の自分自身の拠点を見渡す、長い時間と大量の資金をかけ作り上げた城…(黒歴史)名前は伏せておこう…


探索を始めて少しすると彼女は立ち止まる


「拠点広スギィ!!!」


かつて彼女のデカければデカい程良いと言った大艦巨砲主義並みの思考回路のせいで城は複雑にそして巨大だった


「う、恨むぞ…かつてのオレを…」


何処ぞのナメクジ星人の台詞を吐き捨てマップを見ると調合室から生態反応がする。

取り敢えず向かってみると膝をついて絶望する人型カブトムシのカブちゃんがいた


「え…なんで調合室に…」


「あ、主ぃ!お目覚めでしたか!御身体に触ります!どうかお戻りを…」


彼女に気づいたのか彼はひれ伏す


「何してんの?(素朴な疑問)」


「ハッ!僭越ながら下熱剤を…」


「下熱剤…?」


「熱があるようでしたので…」


「いや、そんなアイテム無いでしょ?」


「は?」


「は?」


二人の間に妙な間が空く


「な、何を…仰っておられるのですか…?」


「へ?だから下熱剤なんてアイテ……」


あ、もう此処ゲームの世界じゃなかった…()

なんて今更気付くが時すでに遅し


「も、もしや…熱で頭をやられてしまったのですか!?今すぐ【いやし〜】様に連絡し…」


「待った!待った!待った!落ち着け!少し頭が混乱してただけだから!」


「そ、そうですか…何かあったら言って下さい」


「わ、分かった」


また二人の間に妙な間が空く


「あ、お粥をお召し上がりになりますか」


「お、おう頼む」


彼女は彼の言葉に相づちを返すだけになり

彼の持ってきた独特な味のするお粥を啜った



◆◆◆



やっぱ主壊れたかも


私はさっきのやり取りで確信してしまった。

主は下熱剤の存在を忘れていた…まさか…噂に聞く記憶消失とやらだろうか。他にも挙動も可笑しかった。辺りをキョロキョロ見回していたりと…

だが例え記憶を失って言おうとも私の忠誠は揺るがないあの方にまだ何一つ返せて居ないのだから!

全く不安では無い!さぁ!今日も忠誠を……


「なぁカブちゃん」


ぬっ!主!どうしたのですかな!


「オレの名前ってステーキで合ってるよな?」


…………前言撤回ちょっぴり不安











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悲報 主の頭がおかしくなった件 五平太 @sukemaru225

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