第28話 中川校長の備忘録②


 それと石炭液化計画が発起した。魔石の活用と錬金術によって、石炭による暖房とか溶鉱炉とかへの使用が減ると見込まれた為に石炭を燃料に使うのでは無く石油素材として利用する為の石炭液化計画だ。


 現代の科学では石炭液化は高分子炭素化合物から成る石炭を低分子化合物に分解して、液体の炭化水素すなわち石油製品に変える技術である。


 液化するには石炭を細かく粉砕し、溶剤と混合し高温・高圧下で水素と直接反応させる直接液化法なる物と、石炭を一度ガス化(石炭ガス化)した、生成ガスを分離、精製した原料を合成反応させて状液化する間接液化法のふたつに大別される。


 その石炭の液化を我が高では魔法を使う。

 錬金術師が錬金術の魔法陣を利用して石炭を液状化する。

 その液状化した物質を錬成術師が錬成の魔法陣で各種素材を抽出する。

 今の所は石炭1tに付き石油素材が300ℓの割り合いだった。


 石炭液化は油田層を探しだして油井を現地に建築しなくてもよいのがとても良い。輸送の問題もあるだろう。現地から鉄道を引くのかタンクローリーを作るのかの問題もある。結構な大工事になってしまうだろう。


 現時点での対応は石炭液化で良いだろう。石炭は定期的にカーク商会より納入予定になっていることだし。


 鉄道なのだが、レールは素材システム科の研究グループより提案があった。


 鉄製のレールを作るのでは無く、土より魔法変化させた岩のレールだ。土魔法使いが土を変換して岩を作り、それをレール状に変化させる。


 そして、そのレールと付随する部材には状態保存の為と耐久性の付与の為の魔法陣の2種類を一定区間に置くことでレール材等の劣化を防ぐ。


 そしてレール下のバラスと枕木も同時に作ってしまう事で工期の短縮にもなる。

そして工期に魔法陣のスクロールが使われ短縮化を図っている。


 我が高で作られた薄い真鍮板に金線で描かれたお得意の魔法陣だった。

バラス製造、枕木製造、レール製造等の魔法陣で魔力を流せば誰でも作業ができる。

勿論、適性が合った者が作業すればより効率が良い。


 情報技術科のスパコンの解析により魔法文字の解読が進み、我が高の魔法陣は単能化してより効率を高めている。

 

 それに真鍮板への3Dプリンターでの金文字線の印刷だ。金に真鍮素材はどちらも大量に保持している、後はそれを高速で大量に作れるのが我が高の武器だ。


 そして保存の魔法陣を納めた箱を1km毎の距離に設置すればOKとの事だった。

 既に川と森からの資材運搬鉄道のレールの施設と駅舎の建設が始まっている。

 駆動車両と運搬車両は機械科と電気科で開発済みだ。


 電気機関車の開発は難しい事は何も無く簡単に開発出来た。既存の技術と違う所はバッテリーが雷属性の魔石バッテリーとなっている所だけだった。それと魔力により惹起する電力の周波数を西日本の規格の60Hzに同調させる事だった。


 西日本に有る我が高の電気製品は多くは60Hzなのでこれからの魔石バッテリーで駆動する電気製品も全て60Hzとなる予定とのことだ。勿論、最近はどちらの周波数でも駆動する電気製品も多いが…


 ディーゼル機関の開発も提案されたが、当分先になるだろう。石炭液化計画も燃料では無く、石油素材にする為だからだ。


 使われていない通勤車両のエンジンも電気モーターに変更する計画が起き上がった、今現在運用に燃料の入手困難で運転制限を掛けているからだ。


 これは駆動系の変更と増設したバッテリーの設置だけの簡易版だ。

車体は既存品のままで流用する。

 

 ホイールインモーターにする訳では無いのでエンジンをモーターに変えるだけだ。

元々、オートマ車が多いので機械的には簡単との事だった。


 先ずは私の車両からだ。既にハイブリッド車になっている車を完全に電気化を目指すのだよ。




 それと武装強化にも取り組んでいる。我が高の技術なら現代社会の武器の模倣製作は簡単に出来るが教頭派の教員を中心に抵抗感がまだ高い。

危機感がその分、低いのだよ、彼等は。


 だが体育教師の山本太郎氏は完全に我が方へ転向した模様だ。元々が疑問に思うことも多かったみたいなのだが、今回の騒動での教頭派の無策、無責任で声だけ大きい事に嫌気がさした様である。生徒にも人気が高い先生なので良いことだと思う。


 そこで武力強化に生徒考案の魔道兵器だ。魔法だと何故か教頭派の教師でも忌避感が少ないのだ。形態はほぼ現代のライフル銃と変わらないというのにだ。解せぬ。


 魔法と言えばなんでも納得してしまう、思考停止とも言えるなぁ。


 魔導ライフルは原理は現代の銃と変わらない。違うのは銃弾を飛ばすのに魔法を使うだけだ。風の魔法陣を組み込んだ直径5cmの真鍮のパイプが主体になっているが


 直径が太いのは対魔物用に弾丸の威力を上げる為にだ。でも重量が重いと女の子には取り扱いが難しい。だから真鍮パイプは二重構造になって軽量化が図られている。


 銃床の基部に発射する為の空気を一気に送る魔法陣が組み込まれ弾丸を発射する。

なんの事は無い空気銃の原理だ。ただ違うのはこの世界には魔法が有るという事だ。


 銃基部の発射機構の空気圧で撃たれた弾丸は真鍮のパイプ内の加速の魔法陣でグングンと加速される。そして、この技術の肝は弾丸に有る、焼夷弾や徹甲弾、爆裂弾等様々な凶悪な弾丸が揃えて有るのだ。


 コレもプリンターで小さな魔法陣が、しかも多数作れるからだ。

 

 それと肩に担ぐタイプのロケット砲擬きの物も作られた。

射程は500m程で魔導ライフルよりかは射程が短いが、コレは誘導弾を打ち出す。

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ある晴れた日に異世界転移は突然に起こる。なんで工業高校が転移するの。 奇譚亭狂介 @coco19940608

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