第4話
誰もいない式場で一人待つ。
開催する側と言うか来て貰う側なんだから一番に来なきゃダメでしょうが。
坊さんがひたすら呟いてる。暇だ。
周りを見ると俺と仲良かったやつは一通り来てる。みんな涙を我慢してるのが一目瞭然だ。
泣きそうな佐倉を見つけて横に立つと少しこちら側にからだが傾いた。
お経が終わり弔辞に入る。
司会者の言葉と同時に立ち上がり俺の棺に向かって歩き出す。
自信の棺を見下ろし、腰かける。大胆不敵に、余裕綽々といつもしていたように。
佐倉が弔辞を読み上げる。俺が死んで悲しかったこと。誕生日プレゼントを用意していたこと。
それを渡せなくなったこと。実は俺が佐倉を好きだ知っていたこと。それが嬉しかったこと。
読み上げながらも泣いてしまい、うつむき、言葉が止まる。
「佐倉、前を向いて。これが最期だから」
ピクッと固まりゆっくりと顔を上げる。
この世に干渉するように霊力を込めた一言だ。
招待されていた人も俺を見つめる。顕現できるのはもって1分と言ったところか。
「佐倉、今までありがとう。最期に泣ける弔辞で送り出してくれてありがとう。何十年後かにまた会えたらその時はお話があります。」
佐倉が泣いた。駆け寄ってくるももうこの世にいられない
「またね。」
俺の体はポツポツと消えていく。
「逝かないでよ。」
もう、むりなんだ。
さよなら、俺の愛した
死んでも愛する。 @sushi @36-50873
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