第16話

[ たちまち女子 ]

海学校内。

蒼詩の件以降、彼女自身ほんの少しだが進化したと言えるだろう。クラスでは紀亜と並ぶほどの信頼はそのままだか、彼女自身がクラスメイトを信用していると見える。

だが、男性への耐性はまだまだである。瞬冶には、少しだが心を開いている。他の男子生徒にはまだ言葉が詰まっている。周囲の生徒たちにも良い影響を与えて、今では立派にクラスの代表としており、しっかり委員である。

瞬冶、紀亜、蒼詩は前回相談の件を話された教室へ呼ばれていた。

そして、そこには千井先生と鶴城先輩がいた。

『おー来た来た。3人に話があってね!あ、そういや瞬冶、紀亜色々とお疲れ様、ありがとね。』

『全然大丈夫です。』

『はい、部長のおかげです。』

千井と相談を受けた2人が会話していると鶴城が会話し始めた。

『2人ともお疲れ。お、あおじゃーん。久しぶりだな!』

皆が疑問を浮かべる。

『お、つ、るぎにぃさ、さん。久しぶりです。』

蒼詩の言葉の後、数秒の間が空くと2人は声を揃える。

『『つるぎにぃさーん?!』』

千井が少し笑いながら、補足をする。

『あー、そういや蒼詩は鶴城新と家が近くてね昔から仲が良いんだよ。』

『ちょっと、先生なんで私の事をそこまで知っているんですか!』

『いやー、まーね。』

蒼詩は赤面して慌てていると、鶴城は俺と紀亜の方へ向く。

『蒼詩は根っこは真面目で凄く女性らしい子だから仲良くしてあげてね!』

その話に紀亜は元気良く返事した。

『はい!こちらこそです。』


それから、蒼詩の件が相談部の実績の部分で該当するかしないかを話をして、会長の良いという言葉を貰えた。

鶴城先輩と千井先生へこれからの方針について話していた。

『鶴城先輩ありがとうございました。まだまだ部活を作るには遠いですが、こんな感じで頑張りますね!』

『その調子で頑張ってくれ。』

紀亜がいつものような対応だ。

『で、これからその部活の事でなんだが次のアテはあるのか?』

先生が紀亜へクリティカルヒットの言葉を放つ。

『えっとー、無いです。予定が未定です。』

『すみません。僕も考えれてません。』

(どうしようか。)

相談部はオテアゲだ。

『部員も動きやすいように増やさないとだぞ2人とも。』

『『そうだった!』』

『そもそもの人が足りないかも知れないね。2人だけだとね。』

『『はいー、、、』』

(人もいるじゃないか。クラスメイトでも誘うか?もう他の部活への入部決めているだろうし、、)

俺もそうだが、紀亜が頭を抱えて未定だと分かる。

すると、急に蒼詩が手を上げる。

『私その、相談部に入りたいで、です!』

(蒼詩さん?え?入る?)

俺含め、皆がキョトンとしていた。

蒼詩の発言に教室は一瞬静まり返った。彼女の言葉が、三人の心に響いたのだ。普段は控えめで、他人との関わりを避けがちな彼女が、自ら進んで相談部に参加したいと申し出るとは、誰も予想していなかった。

瞬冶は思わず彼女の顔を見つめる。彼女の目は真剣で、どこか決意に満ちていた。周りの誰もが、この瞬間が特別だと感じ取っていた。

『本当に?蒼詩さんが相談部に入るの?』

瞬冶が驚きを隠せずに尋ねる。

『はい、みんなと一緒に何かをしたいと思っていて、初めてを楽しみたい。』

蒼詩は少し照れくさそうに続ける。

『相談部で皆と一緒に活動することで、もっと自分を成長させられるんじゃないかと。』

紀亜も笑顔を見せる。

『素晴らしい!私と一緒に活動頑張りましょう!』

千井先生は微笑みながら、うなずいた。

『それは良い決断だね、蒼詩。君の参加が相談部にとってもプラスになるはずだ。』

鶴城も賛同する。

『その意気だ!仲間が増えるのは嬉しいことだし、みんなで協力し合えば、もっと良い活動ができると俺は思う。』

蒼詩は少し安心したように微笑んだ。周囲の反応に励まされ、自分の決意が間違っていなかったことを確認できたようだった。

『じゃあ、これからの活動について具体的に考えていこうか。まずは、どんなことをしたいかを話し合おう!』

瞬冶が提案し、皆は頷いた

会話は次第に活気を帯び、蒼詩も徐々に自分の意見を言うようになった。

『では、次は私の案であの例の人で良いでしょうか?』

『私は賛成!瞬冶も良いでしょ?』

『えぇ、まぁ。』

(なにも考えてなかった。)

『瞬冶なんか文句あるの?』

『ありません。』

『よろしい。』

紀亜がいつのものように突っかかってきた。

千井先生が手をパンッと叩き、皆の注目を集める。

『3人共、頑張れって達成するように!それと勉強も忘れずに。』

『『『はい!』』』

『先輩として、応援するよ。相談対象の子をよろしくね』

『『『はい!』』』

その日の相談部の会議は、蒼詩の参加によって新たなスタートを切ることができた。そして、彼女にとって、仲間たちとの絆が深まる貴重な時間となったのだった。

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