第15話
[ たちまち訳あり女子 ]
海学校内、保健室。
彼女たちの間の微妙な雰囲気は、徐々に和やかさを増していった。それぞれの思いを少しずつ打ち明け合うことで、心の距離が縮まっていくのを感じる。
『ふみ、本当に頑張ってね。私も応援するから!』
紀亜が励ました。
『ありがとう、きあ。私もきあのために頑張るよ。』
蒼詩は微笑みながら答えた。
瞬冶はその様子を見て、ふたりの関係が深まっていることを実感し、嬉しさを感じていた。彼もまた、彼女らのために何か力になりたいと思うようになっていた。
『それじゃ、みんなで一緒に頑張ろうよ!』
瞬冶が提案すると、紀亜と蒼詩は頷いた。
『そうだね、一緒にいると心強い!』
蒼詩の信用は少しずつ上がっているようだ。
『私たち、友達だからね。』
紀亜も続ける。
この瞬間、彼らはそれぞれの目標に向かって歩き出す決意を新たにした。孤独ではなく、互いに支え合うことで、より大きな力を得ることができると確信していた。彼女たちの絆は、これからの試練を乗り越えるための大きな武器になるだろう。
『じゃあ、明日からまた頑張ろう!』
瞬冶が声を上げると、みんなの心に新たな希望が芽生えた。
数分後、3人は雑談をしていると、室外から小さいが声がした。
『押すなって。』
『ちょっと聞こえないじゃない。』
『気になるだよ。』
室内にいる瞬冶らの注目はそこにあった。
すると、瞬冶には聞き覚えがある声が聞こえた。
『お前ら、瞬冶はそんな悪意を持った人間じゃねぇーよ。』
(明か?)
確認しようとする。
『おーい、誰かいるのか?』
ドアが開くと、ぞろぞろとクラスメイトか入ってくる。
『ごめん、瞬冶』
『すまんな。』
男子生徒らは瞬冶へ謝罪をする。
『紀亜、蒼詩さん!大丈夫だった?』
『好一くんあなたきあちゃんとふみちゃんに何もしてないでしょうね?』
女性生徒は女子2人の心配が多い。
瞬冶は訂正を求める。
『違う、最初だけだよ。』
『はは、なんだよ最初って、お前!』
明は笑いつつ話していた。
『明くん瞬冶はそんなんじゃない。で、この人だかりは何なの?』
『ですです!』
彼女達が明へ訂正をすると、明が俺の方を見てホッとしたように感じた。
『でー、皆を引き連れて何用だ明?』
『そうだった。まぁ皆それぞれ心配してたんだぜ!』
明が少し笑みをこぼしていた。
『皆、心配してたの?温かいなぁ。』
『なんだよそれ!瞬冶が泣きそうになってどうするよ!』
『は?別に泣いてないんだが?もぅー。』
瞬冶は驚きつつも、心の中で温かい気持ちが広がるのを感じた。友達が自分や紀亜と蒼詩のことを気にかけてくれているのは、なんとも嬉しいことだ。
『ああ、なんかこのところお前が元気ないみたいだからさ、だからクラスみんなで様子を見に来たんだ。』
『そうなんだ。』
紀亜が頷きながら言った。
『私たち、少しだけ話してたんだ。でも、心配しなくても大丈夫だよ。』
『ほんとに?』
一人の女子生徒が不安そうに問いかける。
『う、うん。私たち友達!ちゃんと支え合って、い、行くよー!』
蒼詩も微笑みながら答えた。彼女の言葉に、周囲の空気が少し和らいだ。
明は安心したように笑い
『それなら良かった。』
と言った。
その瞬間、周りにいたクラスメイトたちも一緒に笑い始め、緊張感が一気に解けていった。
『でも、やっぱり顔色が悪いよ。何かあったら遠慮せずに言ってくれよ。』
明が真剣に言う。
彼の言葉には、友情と思いやりが込められている。
『ありがとう、明。お前は凄いよ。』
瞬冶は感謝の気持ちを込めて言った。
『瞬冶は自分が思っているより、皆へ力を与えているよ。それが空回りしないといいが。』
明が明るく話す。
『でも本当に大丈夫だから、心配しないで。』
その後、しばらくの間、みんなで雑談を続けた。
お互いの近況を話したり、笑い合ったりする中で、瞬冶は少しずつ心が軽くなっていくのを感じた。友達がそばにいてくれることの大切さを、改めて実感したのだ。
『じゃあ、また明日から頑張ろう!』
瞬冶が言うと、みんなが元気よく返事をする。
『うん、明日ね!』
紀亜と蒼詩も笑顔で応じた。
『きあ、一応言っておかないと。』
『そうだね。分かった!』
彼女らは改まって話した。
『『みんなありがとう!!』』
2人の声が揃う。
明るい雰囲気で『『良いよー!』』などの優しい言葉をクラスメイトらは返した。
すると、入り口の方からドンッと叩く音がした。
『保健室で騒ぐなー!』
驚いたクラスメイトらは元々いた3人へ会釈や手を振ったらりした後、素早く保健室を後にした。
明日への希望を胸に、それぞれの帰路についた。
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