人が犯しがちな罪を皮肉った作品

人、特に現代人が犯しがちな罪を皮肉った作品。
特に(七つの大罪から引用すると)「強欲+憤怒、怠惰、傲慢+嫉妬」が話のテーマになっているように見受けられた。

①強欲+憤怒
この物語の主軸である荒魂関連の話。
“幸せ”という願いだけで満足しておけばよかったものの、“小説家”という願いにまで手を出してしまったがために不運が始まる。
ただ諦めれば良かったものの、夫への怒りを抑えきれず、少ない小銭で更に強い願望を叶えようとして、元々あった幸せすらも取りこぼしてしまう。
∟ギャンブラー的には痛いほどわかる...

②怠惰
夢は夢のままであるほうが気が楽というのはごもっともで、主人公も小説家の夢には敢えて目を向けず、自己防衛的な手段として温存していた。これはある意味怠惰といえよう。
文中では助言もあり克服するものの、苦痛への覚悟がなかったからか、もしくは目を背けて着手が遅れたからか、結果的に不運に繋がる。
∟極端だけど自宅でイキってる引きニートと同じで、引き延ばすほど手遅れになる

③傲慢+嫉妬
純文学以外を受け付けない傲慢さと評価の高い作品への嫉妬が更に主人公を破滅に導く。
これまた周りの批判を気にせず、当初の通り夫のためだけに書いてたら不運には繋がらなかったはず。
∟嫉妬は現代の特にSNS上では言わずもがな、この小説でいう傲慢はファンやオタクの古参勢が新規を批判するイメージに近いかな


こんな感じで纏めたけど、①②③の全てが最後の破滅に繋がっているのは改めて面白いなぁと感じた。
んで逆にどれか1個でも防げてたらハッピーエンドで終わったかもしれない点を鑑みると、(めちゃくちゃ深読みだと思うけど)そこが作者の主張かもって思ちゃった。

以上

追記

ってこれ連続する小説の1個目なんか!
そうなると作者の主張も色々と話変わってくるけど、とりあえず単発の感想として残しとく。

レビュワー

このレビューの作品

私の夢