(仮)いっときの旅路
ちょっと変で優しい人(20)
第1話 旅路のはじまり
あなたは涙が出なくなったことはあるだろうか。さすがに毎日泣く人はあまりいないだろうが、喜怒哀楽はあるが何かしぼんだような。そうだ、心が枯れているような。恐らく普通の人々は好きなことをして心にちょっとずつ心に水をやっている。しかしどうだろう。私は好きであろう事(好きかどうかもわからない)にも何も湧き出てこないのだ。むしろ、心がすべて奥底にこっそりと仕舞っているような、常に渇きに喚いているのだ。このような調子が2、3年続いたある日私は思ったのだ、旅に出ようと。時が経つごとに周りとの乖離を感じたからである。このような突拍子もないことを思ってしまったこの頭を1度冷やしに行こうと思ったからである。今時、旅人というものは幻想で、結局すべて会社に勤めるのだというのが社会の常識であるこの時世に旅人になろうと思ったのである。思い立ったが吉日、私はすぐに荷物をまとめ、2,3年の貯金を握りしめ旅に出た。
(仮)いっときの旅路 ちょっと変で優しい人(20) @hendeyasashii128
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