英雄?

「やめといた方がいいですよ」

「それは、どういう……」

「あ~遠くから見てもらった方がいいですね。あまり近づくとあれなんで」


わけがわからないまま、新藤さんと一緒に事務所の近くまで歩いていくと、事務所の前になにやら人だかりのようなものが。

まだ距離があるけど、それでもTVで使うようなカメラも混じっているのがわかる。


「あんな感じです。見つからないうちに裏に回りましょう」

「あ、はい」


あのカメラはなんだ?

今まで一度もこんなことは無かったのに。


「花岡さんはお昼のワイドショーとかあんまり見ないんですか?」

「ワイドショーですか? あんまりは」

「昨日から結構流れてます」

「もしかして、オーガの件ですか?」

「そうです。隊員が複数亡くなってますから。それに英雄の誕生だと騒いでます」

「英雄ですか?」

「花岡さんの事ですよ」

「え~っと、話が良く見えないんですが何の話でしょうか」

「だから花岡さんの話ですよ。花岡さん一昨日オーガキング倒したじゃないですか。アレです」

「確かに倒しはしましたが、それが英雄と何の関係が」

「やっぱり花岡さんは規格外ですね。ほぼ単独でオーガキングを倒したんですよ? そんなの英雄にしか出来ない事ですから」

「そんなことありますか?」

「ありますよ」


新藤さんが冗談を言っているようには見えない。

それじゃあ、本当にあのカメラとか群衆は……。


「新藤さん、俺どうしたらいいんでしょうか」

「とりあえず出退社は裏口徹底ですね」

「他は……」

「パパラッチに気を付けてください」

「パパラッチ⁉」

「マスコミは下世話な話題も好物ですからね」


パパラッチってあのパパラッチ⁉

俺が、芸能人みたいな生活をしないといけないって事?

嘘だろ。

まあ、俺の周りをうろついたところで何も出てこないだろうけど、私生活がさらされるのは嫌だな。

40男の寂しい生活が全国のお茶の間に届けられるのは勘弁願いたい。

いや、流石にTVでそんなことは無いか。


「今時、配信もありますから」

「ああ……」


そうだった。

TVだけじゃない。

俺達の活動が配信されているように、そういう事もあるのかもしれない。

それにしてもなんで俺?

たしかにオーガキングは強かった。

とどめをさしたのは俺だけど、隊長たちも一緒に戦ってくれたし、他の隊員だっていた。

それなのになんで俺?

新藤さんがちょっと盛ってたとしても英雄はない。

憧れはあるけど、流石に英雄はない。

ワイドショーを見たわけじゃないからあれだけど、やっぱりマスコミって怖いんだな。



ご挨拶

今年もよろしくお願いします。

お正月作業できなかったので現在追われています。

頑張るしかない。


駱駝先生の新作 電撃文庫 

主人公の幼馴染が、脇役の俺にグイグイくる

ご縁がありコメントを寄せさせてもらいました。

甘いだけのラブコメに飽きた方は是非!

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非モテサラリーマン40歳の誕生日に突然大魔導士に覚醒する #花岡修太朗40歳独身彼女なしが世界トレンド1位 海翔 @kawakaito

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