世界最強の元クソゲー開発者、異世界を再定義する

貝袖 萵むら

第1話 島を再定義する、若者島

僕は子供の頃、イナゴが好きでよく友達からいじめられていた。

彼が高校になった際彼はゲーム開発に勤しんでいた。

そして、2024年、僕の作った「イナゴ・オンライン」がクソゲーオブザイヤーを受賞した。死が身近にあるブラック企業で働くイナゴを操作して敵の昆虫を倒していくのだが、イナゴがかなり気持ちが悪いため、クソゲー認定されていた。ミニゲームがセミの脱皮とりなどただの拷問でしかない。また、クイズもイナゴが成虫になるのは何月ごろかなどイナゴに詳しくないと答えられないものだった。イナゴオンラインゲーム大会の優勝者にはイナゴ一週間分が贈呈される。丁寧にイナゴの佃煮の作り方も同伴されていたが評判は最悪だった。


「そもそも虫が食べられないとは誰が決めたのか。イナゴは一部地域では食用として親しまれているし。」


僕の名前は、稲越セツリ。名前にイナゴが入っているのでイナゴの事は仲間だと思っている。


「イナゴはダメみたいだ。はあ。ラノベに出てくる異世界行ってみたいな。」


稲越セツリはイナゴを愛しているがイナゴだらけの世界に行ってみようとは考えなかった。彼は異世界に興味があった。いつか異世界に足を運んでみたい。

彼は学校に通っていた。帰りのホームルームが終わる所だった。


「よし。今日の授業はこれで終わり。また明日も学校に来いよー。」


彼はイナゴを飼っているせいで周りのクラスメイトから煙たがられ一人で帰っていた。

家につくと、そこには得体のしれないアリクイのような生命体がいた。


「僕はダンテ。今から面白いものがみれるぞ。」


彼がそう言うと、地面が揺れている事に気づいた。


「ぐらぐらしている。地震が起きている。まさかお前が。」


ダンテは彼の言葉を聞いて首を横に振った。


「地震じゃない。噴火だ。」


ニュース番組も一斉にこの事を記事にしだした。


「速報です。神奈川県網手町から噴火が起き島が現れている模様です。近くの住民は安全確保のためくれぐれも港には近づかないようにしてください。繰り返します。」

彼の言葉は正しく、港から波が押し寄せながら島が姿を現した。


「島が現れた。一体どうやって。」


ダンテはセツリの質問に答えた。


「僕の世界改変の力だ。文字通り世界を改変できる。まずは島を作ってええと、そうだった。ここ日本を異世界にしてみよう。セツリ、水魔法を使ってみるといい。」

セツリはダンテに言われた通り水魔法をイメージすると水の玉のようなものが現れた。


突然現実世界が異世界になった事で、日本中が混乱していた。


「どういうことだ。数十年ぶりに日本に島が現れた。」


「それだけじゃない。魔法を扱えるものが現れた。火、草、水を扱えるものが現れてこの国中が混乱している。」


日本の首脳も急いで準備を始めていた。


「すぐに会議、会見の準備だ。予知できない事が起こっている。」


周りの官僚は準備に追われていた。


「会見準備完了いたしました。」


日本の首脳が会見を始めた。


「ええ。内閣総理の流連 妙二郎です。神奈川県網手町近くの海から

噴火が起こり半径約2kmの島が誕生したことを報告いたします。島は現在も拡大中とのことです。現在の要因は地震と噴火と言われていますが、原因究明次第報告いたします。また、各地で国民が火や水の魔法のような操作ができるようになったことについても状況が分かり次第報告いたします。」


ダンテはセツリに話を始めた。


「突然だが、君に今できた島の名前と管理をお願いしたい。君の世界を作ってみたいとは思わないか。異世界にするも、イナゴ王国にするのもよし。君に私の能力の一部を授けよう。ゲームマスターの世界改変という能力を授けよう。」


セツリは何がなんだかわからず戸惑っていた。


「ど、どういうこと。僕が今さっきできたあの島を統治しろと言うことですか。そんなことできるわけない。」


ダンテはセツリに話を始めた。


「僕の能力は世界を改変する力であって建築物や道具を生み出すことはできない。意外と忍耐力が必要なんだ。君のイナゴ・オンラインというゲームをプレイして君にはゲームマスターの素質があると思った。君はまだ学生だろ。学生でゲームを完成させること自体すごいことだ。しかも面白い。イナゴがぐろくて嫌いという声が多いがミニゲームも充実しているし中身も骨太だ。どうだ。あの島を自分のものとして育ててみないか。」


ダンテから能力を授かる心の準備をし始めた。


「ふう。整理させてください。あなたは私のゲームが好きで僕に今できた島の統治をお願いしたいということですか。」


「いや君のゲームはそこまで好きじゃない。ただイナゴとアリは好物でね。よく食べているから親近感があった。君を指名したのは神の悪戯さ。」


セツリは胸に手を当て心臓の音を聞いた。


「分かりました。僕にあの島を統治させてください。」


ダンテは彼の言葉を聞いて嬉しくなった素振りを見せた。


「よし。決まりだ。では君にゲームマスターの世界改変を授けよう。」


ダンテから最強の能力を授けられたセツリは島の方まで移動していた。


「セツリの走る速度をジェット機にする。」

セツリはものすごいスピードを出して走った。

彼は島の方面で取材を行っている記者が乗っているヘリコプターに近づいた。


「セツリは空を飛べる。」


空を飛びヘリコプターに近づくと、記者団も彼の存在に気づいた。


「空を飛んでいる人間がいます。カメラ向けて。あの人間は一体どうやって空を飛んでいるのか、取材してみたいと思います。すいませーん。取材いいですか。」


セツリは取材に答えた。


「いいですよ。僕も伝えたいことがあるので。」


記者団からの取材が始まった。


「どうやって空を飛んでいるのですか。」


「私の世界改変能力です。突然使えるようになりました。」


「世界改変とは一体どうやって、」


「物理法則ごと変えてしまうんです。記者さん名前を教えてくれませんか。」


「沖風 颯です。」


「沖風は空を飛べる。これであなたも空を飛べるはずです。」


沖風は突然空が飛べることに喜んでいた。


「うわーすごい。私今空を飛べています。」


セツリはまた、世界改変の能力を使用し始めた。


「セツリは強力な水魔法を使えるようになる。」


すると突然空が曇りはじめ雨が降り始めた。彼は雨を手で拭った。


「私の能力を使えば雨も起こすことが可能です。」


「セツリは強力な火魔法を使えるようになる。」


すると彼の近くに魔法陣が現れ火の流星群が森を焼き払った。


「おお。すげえ。やっぱり世界改変の能力強いや。」


セツリ自身魔法を使えることに驚いていた。彼はその後記者団のカメラに対して話をし始めた。


「これからこの島は私が管理します。名前はイナゴからIGNITEに変えて、いぐない島。これからこの世界はラノベの異世界転生ものにします。協力してくださった方は島での生活権を与えます。私がこの島のゲームマスターになります。」


その言葉を聞いて沖風は反論した。


「いえいえ。この島は国のものです。我が国が管理し統括します。」


セツリは沖風の話を聞いて言葉を返した。


「国がこの島を扱っても面白くならないでしょう。若者が統治する若者による若者ための島があってもいいじゃないですか。そうだ。この島を別名若者島と名付けよう。みんなで異世界を作り上げようじゃないか。」


セツリの現実世界のゲームマスターとしての日々が始まった。





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