パンツ君(本名)の「じゃない」受け子ほっこり体験記

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「受け子」それって、怖い言葉ですか?意外な結末で、そんな気持ちも…?

世の中、ほっこりとあたたかい気持ちになれるミステリーもある。

「お金、ほしいな…」

大学生のパンツ君(本名)は、悩み中。

「そうだ。あいつがこの前、高額な報酬を得られる仕事があるって言っていたな」

あいつとは、同じ大学に通う友だち。

スマホに手を伸ばし、教えてもらっていたサイトにアクセス。

スマホは、便利で怖いアイテムだなぁ。

「荷物を受け取るだけの、簡単仕事です」

謎グループが提示してきた報酬が、これ。

「あなたの考えている金以上の物」

彼は、すぐに応募。

謎グループから、Rマートという名のスーパーマーケットの駐車場に向かうように指示を受けた。

「これ…、詐欺の受け子仕事じゃね?」

そこには、紙袋を抱えながらおびえる女性高齢者が、ポツンと立っていた。

「1人か。情報通りだな…」

謎グループの情報は、たしかだ。

女性高齢者が小学校低学年の子を孫にもつこと、通っている小学校など、いろいろ調べあげていたからね。

「…もしもし。○○ちゃんのおばあ様でしょうか?私は、○○ちゃんの通う小学校の者です。実は、○○ちゃんが大変なことになりまして…」

病院に運ばれかなりの治療費がかかりそうだと伝えた謎グループは、こうもダメ押し。

「かわいい○○ちゃんを助けられそうな分を、持ってきてください!場所は…」

金を持ってこいとは、言っていない。ずる賢いやり方だ。

「どうして、学校とかじゃなくてスーパーマーケット?」

女性高齢者には、そう疑う余裕などなかったろう。

駐車場で、彼と接触。

「それじゃ、渡しましたからね」

「ありがとうございます、おばあ様?」

「お願いしますよ!大金以上の価値をもつ物なんですから」

2人は、すぐに別れた。

「大金以上の価値?宝の地図でも、入っているのか?…って、え?」

袋の中には、学校の運動会で孫と一緒に走る姿などが撮られた写真数十枚が入っていた。

「何これ?」

この取引を紹介してくれた大学の友だちに伝えると、にっこり。

「ほっこりミステリーで、良かったな」

笑われるし。

「報酬は、あなたの考えている金以上」

その意味は…。

なるほど。

謎グループは、わかっていたんだろう。

あの女性高齢者にとっては、孫の写真が宝石以上の価値で輝いていたのだ。





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