完了

第9話

私は執行部屋から出て、ため息をついた。


ダムナティオ・メモリアエにかけられた人間は、刑の終了と同時に、座っていた位置の床が抜け、地下に落とされる。そしてこの国のプログラムを動かすための動力として、生涯の地下労働を強いられる。私はそこに行ったことはもちろんないが、想像するだけで気が滅入りそうだ。

第二教育所の遠足場所として定番な国立科学協会館。

その奥の、長い長い廊下の、ただ一部屋で、こんなことが行われているなんて、いったい国民のうち何人が知っているのだろう。私もこの職に就くまでは知らなかったし、守秘義務があるから仕事の内容を誰かに言ったことはない。まぁ多くの人が知りたくないだろうが。

しかし私は、適性検査で国立科学協会がずば抜けていただけあって、ため息をつく、程度で気分を落ち着かせることができる。

理子リコ。大丈夫か」

しばらく扉にもたれかかっていたら、廊下を歩いていた同僚に声をかけられた。

「大丈夫よ。ちょっと落ち着かないだけ」

私はそう言いながら、いつものように、ポケットに手を入れ、取り出した。

「あれ?なんでこんなものが入っているの?」

私は取り出したものを眺めた。

「なんでって…理子の好物だろう?」

同僚は怪訝そうな顔をして、答えた。

ああ、そうか。あれ、私は何が疑問だったんだ?


私は首をひねりながら、取り出したチョコブラウニーを口に入れた。

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ダムナティオ・メモリアエ 家猫のノラ @ienekononora0116

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