夏の海

千夜

夏の海

大学の桜の木を見る君をみた。綺麗だと思った。

あれから自分は普通に過ごしてた。

でも初めて君をみたあの日のことが頭から離れなかった。

なぜだろうと自分で不思議に思っていた。

君を見つければ、何か分かるんじゃないかと そう思いながら

大学内でふと君を探すようになった。





夏休みが近づいてくる時君を見つけた。

君は海の写真があるポスターを見ていた。

何のポスターだったろうか。

それを熱心に眺めていた君はすごく綺麗だった。


ふと何故眺めているのか気になって声をかけた。

「何でそのポスターを熱心に見ているの?」

「…綺麗だから」 君はそう一言返事をした。

すごく綺麗な声だった。

 

その時、君はポスターではなく海の写真を見ていたのだと気づいた。

だから「海、好きなの?」と聞いた。

そしたら君は「うん、綺麗だから」と答えた。

「今度の夏休み海、一緒に見にいかない?」

つい君を誘ってしまった。

馴れ馴れしいかな、気持ち悪いかなと自分の行動を後悔していた。 


でも君は、「…いいの?」と答えた。 

すごく嬉しかった。

「っねえ、いつ予定空いてる?」と舞い上がってつい勢いよく話しかけて、

君が答えて__________





一緒に海に行く日が来た

大学で待ち合わせて、近くの海にやってきた。

君はすごく嬉しそうに、「綺麗だね」と言った。

それを見て「…そうだね」と返した。


すごく幸せだった。

またこうして2人で出かけたいなと思っていた。連絡先を交換し忘れたまま、解散したから夏休み明けにまた話しかけようとそう思った。




夏休みが明けて、大学で君を探したんだ。

でも______

あれから君を見かけることは無かった。



話しかけた日に、海を見に行った日に、

連絡先を交換しておけば良かった。

そう後悔した。





あのまま大学を卒業した______

君を見つけられないまま______

君を忘れられないまま______



あれからどのくらい経っただろうか。

大人になった今でも君を探してる。

街を歩くと君の姿を探してしまうんだ。

 もしかしたら君がいると思って。

2人で行った海に今でも行くよ。

 もしかしたら君がいると思って。

今日は大学の同窓会があったからきてみたんだ。

 もしかしたら君がいると思って。


でも…


いや…


やっぱり君は居なかった。



どこか心の中でもう会えないと分かっていた。

でも認めたくなかった。

もう一度会いたかったんだ。


どこか寂しげに


どこか儚げに


どこか羨ましげに


そして綺麗な横顔で______眺めながら「綺麗」

と言う君を また見たかった。

綺麗な君が好きなんだ。



2人で海を見に行った日。

君は海を見ながら

「自由で綺麗な君が羨ましい

君と自分は同じ海なのに

何でこんなに違うのかな」

って言ってたね。



______ 海 さん





「おーい、きたばっかりなのに

もう帰んのかよー   海斗!」



終わり




最後まで読んでくださってありがとうございます

少しでも 面白かった などと思いましたら★や❤︎を押してくださると嬉しいです

感想や誤字報告もぜひお願いします

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏の海 千夜 @senya293

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画