第4話 幽霊でヘッドスパ

 ホラーな現象に遭遇するのは冬の方が多い。

 理由は不明だが、大体不思議なものに遭遇するのは夏ではなく冬の方が多いのだ。

 そして冬に遭遇する奴は大抵やばい。


 これは、昨年の冬に遭遇した、幽霊にヘッドスパしてもらった時の話だ。


 その日、私は疲れてまた眠っていた。

 寝たのは昼間だったのでじゃっかん明るかったが、目を覚ました時は夕方だったのか部屋が暗くなっていた。

 疲れているのか、頭が重くて起きたくなかった。

 休日の私は大体こんな感じだ。


 しかし、そろそろ起きないとなって思いながら、目を閉じたままゴロゴロしていた時。

 ふと部屋の中に唐突に気配が現れた。

 目を閉じているのに、それが何処にいて、どんな姿をしていて、近づいてくるのだけは分かった。

 そう、目を閉じているのに視えているように分かったのだ。視覚としてはとらえていないのに、はっきりと視えている。

 何を言っているか分からないかもしれないが、こういうことはよくある。

 目を閉じたままなのに、そういった奴らがいる時は目を開いた時と同じように視える時がある。


 目を閉じたまま視たところ、髪の長い女という、よくあるベタな姿かたちをしたものをとらえた。

 もうこの時点でこれが夢か現実か区別がつかず、ぼんやりと、それが徐々に近づいてくるのだけは分かった。


 だが、ここでもうひとつ不思議なことが起きた。

 私が認識している動きと、髪の長い女の動きが微妙にずれているのだ。

 簡単にいえば、私が見た動きを、髪の長い女は遅れて動く。ちょっとだけ先の行動が視えている、といったところか。

 そしてちょっと遅れた動きで、髪の長い女は私が思った通りの場所に来た。

 怖かったので寝返り打つふりをして、じゃっかん距離を取った。

 そして、瞼の裏側で見た映像では、髪の長い女は機械的な動きで指で突っつき始めた。

 寝返り回避をする前の場所を、女は指で突っついた。

 だが、何度も寝返り打つのも不自然な気がしたので、一度は仕方なく指を受けることにした。

 頭に指がつんと突っつく衝撃を受けた。

 痛くはない。

 むしろちょっと痛キモチイイ。

 なんていうか、ヘッドスパみたいな。


 そこで私は思った。これは上手く動けば、ヘッドスパしてもらえるのではないか、と。


 私は寝返りを打つふりをして、指が降りてくる場所に自分の頭をセットした。

 また指が頭に激突した。やっぱりヘッドスパだ、これ。


 横になっている時にはいつも頭痛がするが、ヘッドスパのおかげが頭痛が和らいでいった。


 だが何度目かのヘッドスパの時。

 私は油断して、頭の位置を見誤った。

 指は耳の中へとめり込み、私は思わず飛び起きた。


 私が起きると、ヘッドスパしてくれた幽霊は消えていた。

 

 とりあえず気付いていないふりをするため、「あ~まだ眠い」と独り言を呟いて、二度寝した。


 次に目を覚ました時はすっかり暗くなっていた。

 どうやらもう出てきてくれないようだ。


 みんなも幽霊でヘッドスパする時は、位置を見誤らないように気を付けた方がいいぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

本当にあった不思議な話 シモルカー @simotuki30

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ